PET関連技術

 

PET(Positron Emission Tomography)の原理

PET(Positron Emission Tomography)の原理

生体に取り込まれたポジトロン(陽電子)放出核種から放出されたポジトロンは、その近傍で運動エネルギーを失った後、物質構成電子と結合して消滅します。その際、1対の消滅ガンマ線(エネルギー511keV)が互いに正反対の方向に放出されます。これらのガンマ線対を1対の検出器で同時計数することで、ポジトロンが放出された位置を検出します。

 

ポジトロン核種と半減期

核種 半減期
11C (炭素-11) 20分
13N (窒素-13) 10分
15O (酸素-15) 2分
18F (フッ素-18) 110分

 

 

PET計測の流れ

1. サイクロトロン

サイクロトロン

サイクロトロンは、PETでの計測に欠かせないポジトロン放出核種と呼ばれる放射性同位元素(アイソトープ)を生成する装置です。

 

2. 薬剤合成装置

化学合成装置

ポジトロン放出核種を物質の一部に組み込んだり、置き換えたりするのが、薬剤合成装置です。例えば、がんの検査ではブドウ糖の類似化合物にポジトロン放出核種を標識として合成します。

 

3. 薬剤の投与

薬剤の投与

薬剤合成装置によって作られた薬剤は、静脈注射やガスとして吸入することによって体内に投与されます。

 

4. 測定

測定

体内から放射されたガンマ線の位置、方向をPET装置で検出します。

 

5. データ処理

コンピュータ処理

PET装置で検出されたデータはコンピュータに送られ、ガンマ線の発生場所を画像化します。

 

6. 画像化

画像化

薬剤が特異的に集積している部分が、画像に表示されます。

 

PET検出器

PET検出器の原理

シンチレータに入射したγ線は微弱な光に変換され、光電子増倍管によって電気信号に変換されます。

シンチレータに入射したγ線は微弱な光に変換され、光電子増倍管によって電気信号に変換されます。

1対のPET検出器で同時計数することによりγ線の放出位置を検出します。

1対のPET検出器で同時計数することによりγ線の放出位置を検出します。

 

PETの進化

Conventional PMT

Conventional PMT

Dual PMT

Dual PMT

Quad PMT

Quad PMT

Poition-sensitive PMT

Position-sensitive PMT

Compact PS-PMT

Compact PS-PMT

Flat-Panel PS-PMT

Flat-Panel PS-PMT

 

半導体検出器

Multi Pixel Photon Counter (MPPC)

Multi Pixel Photon Counter (MPPC)

4X4ch MPPC Array (3mm2/ch)

4X4ch MPPC Array (3mm2/ch)

 

頭部PET装置による脳研究

1. 「こころ」を見る 囲碁PET

「こころ」を見る 囲碁PET  画像提供:浜松医療センター附属診療所

PETにより「こころ」を見ることが可能です。本画像は、囲碁のプロ棋士とアマチュア愛好家に布石と詰め碁を考えていただいたときの脳が活動している領域を示したものです。プロとアマでは、布石、詰め碁を考えた時の脳賦活部位が違います。

 

2.覚醒剤常用者の脳

覚醒剤使用者の脳   画像提供:浜松医療センター附属診療所

セロトニンは、脳内の神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる作用があります。セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくく、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、うつ病になりやすいなどといった指摘もあります。本画像は覚醒剤(METH)常用者のセロトニントランスポーター脳内密度を計測した画像ですが、健常者に比べて著名に低下していることがわかります。

 

3.アスペルガー症候群の脳

アスペルガー症候群患者の脳    画像提供:浜松医療センター附属診療所

アスペルガー症候群の定義には諸説ありますが、知的障害を伴わない自閉症といわれています。興味、関心が限定され、社会的生活を送ることが困難になる病気です。本画像はアスペルガー症候群のセロトニントランスポーター脳内密度を計測した画像ですが、健常者に比べて低下していることがわかります。

 

4. アルツハイマー病におけるアミロイド集積

アルツハイマー病患者のアミロイド集積 画像提供:浜松医療センター附属診療所

画像提供:浜松医療センター

認知症の代表であるアルツハイマー病の脳では、神経細胞の変性と脱落および、アミロイドβ蛋白からなる老人斑の蓄積が特徴的です。アミロイドβ蛋白の脳内蓄積は認知症が発症する以前に始まりますので、RIBなどを利用したPET検査によるアミロイドイメージングはアルツハイマー病の超早期診断法となる可能性を秘めています。

 

全身PET装置による症例

1. がん検診に特化した高スループットPETによるMIP画像

投与薬剤:[18-F]FDG(ブドウ糖)
投与量:3MBq/kg

健常者 医師所見:特記なし 52歳男性・身長167cm・体重65kg 画像提供:浜松PET検診センター

健常者
所見:特記なし
52歳 男

肺がん術後患者 医師所見:多発骨転移・多発脳転移 59歳男性・身長170cm・体重64kg 画像提供:浜松PET検診センター

肺がん術後患者
所見:多発性骨・脳転移
59歳 男

左の正常例では糖を大量に消費する脳や、投与薬剤の排出経路である腎臓・膀胱に薬剤集積が見られます。右は肺がん術後3年経過された方の例ですが、脊椎椎体・左右肋骨・骨盤などの骨や、脳内にも複数の異常が見られ、転移していることが疑われます。この様に、全身PET 検査では一度に全身の様子を診る事ができます。

 

用語説明

MIP : Maximum Intensity Projection (最大値投影法。)3次元画像をある視点から観察し、経路上の最大値を2次元平面に投影する方法。サンプル画像は正面ならびに左側面から見た場合の画像です。

画像提供:浜松PET診断センター

 

2. 食道がんのPET/CT画像

(左)PET/CT、(中)PET、(右)CT 画像提供:浜松医療センター付属診療所

(左)PET/CT、(中)PET、(右)CT
画像提供:浜松PET診断センター

CT検査では形態情報を、PET検査では活発に増殖しているがんの代謝の活性度を診ることができます。PET/CT検査では、これらの情報を融合し、がんをより正確に診断することができます。特に、良性、悪性の評価や、がんの病巣の拡がり、病期の判定に役立ちます。

 

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