小惑星「リュウグウ」のサンプル分析

小惑星「リュウグウ」に存在するサンプルを地上へ。
大きなミッションを果たした「はやぶさ2」

2014年12月に小惑星「リュウグウ」に存在するサンプル採取を目的に宇宙へ打ち上げられた「はやぶさ2」。サンプルの直接採取を見事に行い、採取された粒子は専用のカプセルに詰められ、2020年12月に地上に帰還しました。

 

その後分析を担当する研究者のもとに届けられ、その分析は今もなお続けられており、さまざまなことが明らかになってきています。

はやぶさ2と採取された粒子

リュウグウはC型と呼ばれる惑星のカテゴリに分類されている。C型小惑星には、水と炭素が多く含まれていると考えられている。(「JAXA はやぶさ2プロジェクト」より)

46億年前の水や有機物が残っているとされる「リュウグウ」。
サンプルを分析することで、太陽系の起源や進化、生命の誕生の謎を解く手がかりを得る

多数の太陽系天体中、なぜ「リュウグウ」が探査の対象になったのか。
それは、小惑星探査機「はやぶさ」よりサンプルが持ち帰られたS型小惑星「イトカワ」に比べて、C型小惑星「リュウグウ」の方が太陽系初期の情報を多く保っている始原的な物質で構成されている可能性が高いと考えられているためです。

 

太陽系が誕生したとされている46億年前の水や有機物が今もなお存在していると推測されている小惑星「リュウグウ」。サンプルを分析することで、どんな成分で構成され、どのように生まれたのかを明らかにできれば、太陽系の起源や進化、生命の誕生の謎を解く大きな手がかりを得られると期待されています。

小惑星リュウグウ

リュウグウは岩石の中に有機物などを多く含むと考えられているC型小惑星に分類されている。
(「JAXA はやぶさ2プロジェクト」より)

サンプルの分析装置の検出器として採用されている浜松ホトニクスのカメラ。
高性能カメラによる鮮明な撮像で多くの謎を解明する一助を担う

採取されたサンプルの分析は、分析を担当する「初期分析チーム」および「Phase2キュレーション高知チーム」により、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」の実験施設で開始されました。

 

採取されたサンプルはさまざまな方法で分析されますが、その中に計測用カメラを用いた方法があり、そのサンプルを分析する装置に弊社の高性能CMOSカメラが採用されています。

 

具体的には、X線回折CTや位相コントラストCTなど放射光X線を用いた複数のCT法を組みあわせた「統合CT環境」を用いた、サンプルの3次元形状、内部構造、および鉱物分布などの非破壊解析が行われています。また2021年秋から、同施設においてnano CT分析法を利用し、サンプル中の水や有機物の高解像度3次元可視化も行われています。

SPring-8 BL20XUの統合CT装置。弊社のCMOSカメラが検出器として採用されている。

分析実験によって、岩石・鉱物、水や有機物が共存する小惑星「リュウグウ」上での有機物の化学進化、既知の始原的隕石との関連性、地球の水の起源など、宇宙科学における諸問題を紐解くことが期待されています。

 

夢とロマンがたくさん詰まったサンプルの分析に用いられる弊社のデジタルCMOSカメラは、多くの謎の解明への一助を担っています。

デジタルCMOSカメラ