汚染の予防・廃棄物管理

汚染防止の取り組み

当社製品の製造拠点は、主に日本国内にあります。国内の製造プロセス等で使われる化学物質で、環境汚染を引き起こす可能性がある特定化学物質については、PRTR※1制度により、その移動や排出量を行政機関に届出をしなければなりません。当社は年2回実施する化学物質使用状況調査で把握した情報に基づき、適切に報告しています。加えて、当社に入ってくる化学物質で、特に当社製品中に含有される化学物質に対しては、自主基準で管理し、環境事故の防止に努めています。

 

当社に入ってくる化学物質は、上述の化学物質使用状況調査や「環境管理物質運用基準※2」によって管理されていますが、使用後の排出場面では、より一層の注意をもって管理されています。日本の環境基本法は、1.大気汚染、2.水質汚濁、3.土壌汚染、4.騒音、5.振動、6.地盤沈下、7.悪臭による人の健康または生活環境への被害を、典型七公害として規定しています。当社では法定または自主基準に従い、事故による汚染予防の観点から管理しており、仮に事業活動に起因する環境汚染の可能性が生じた場合には、速やかに汚染の排出源を特定し、所管行政および地域住民に報告し、原状回復に努めます。

※1:PRTR (Pollutant Release and Transfer Register):環境汚染物質の排出・移動登録
※2:「環境管理物質運用基準」:当社が環境管理物質として定める物質を対象とした社内基準。基準の内容は同一であるが、製品含有化学物質に焦点を当てた「納入部材の含有・使用 化学物質管理基準」もあり、こちらは社外に公開している。

※ データの集計期間は、当社事業年度が基本となります。

76期:2022/10/1 – 2023/9/30
75期:2021/10/1 – 2022/9/30
74期:2020/10/1 – 2021/9/30
73期:2019/10/1 – 2020/9/30
72期:2018/10/1 – 2019/9/30

化学物質の適正な管理

当社の製造プロセス等で使用する化学物質は、年2回実施する化学物質使用状況調査によりその全量を把握しています。その中でさらにPRTR制度で指定される第一種指定化学物質※3については、年間の取扱量が1 tを超える物質が届出の対象となり、2022年度は、本社工場の4物質、都田製作所の1物質を届け出ています。当社届出の化学物質と、事業年度ごとの第一種指定化学物質取扱量※4およびその売上高原単位排出量は、以下の通りです。2023年4月よりPRTR対象物質が変更になった影響で、76期の取扱量は前期比で大幅に増加した結果になりました。

※3: 環境への排出量の届出等(PRTR)およびSDS(安全性データシート)の交付の両方が必要となる化学物質。届け出対象となる化学物質は、計515物質が指定されている。

※4: 当社の各事業所において年間の使用量が1 kgを超える化学物質を、集計の対象とする。

PRTR制度に基づく届出対象物質

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
豊岡製作所 - - - - -
天王製作所 - - - - -
本社工場 1. 2-アミノエタノール
2. フッ化水素およびその水溶性塩
3. ピロカテコール
1. 2-アミノエタノール
2. フッ化水素およびその水溶性塩
3. ピロカテコール
1. 2-アミノエタノール
2. フッ化水素およびその水溶性塩
3. ピロカテコール
1. 2-アミノエタノール
2. フッ化水素およびその水溶性塩
3. ピロカテコール
4. トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート
1. 2-アミノエタノール
2. フッ化水素およびその水溶性塩
3. ピロカテコール
4. トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート
三家工場 - - - - -
新貝工場 - - - - -
常光製作所 - - - - -
中央研究所 - - - - -
都田製作所
(化合物材料センター)
塩化第二鉄 塩化第二鉄 塩化第二鉄 塩化第二鉄 塩化第二鉄
産業開発研究センター - - - - -
筑波研究センター - - - - -

SDSの収集推進と活用

化学物質の性状を把握するのに、また安全に取り扱う上でSDS※5は有益です。当社では、労働安全衛生法で交付義務が課される対象物質を超え、全ての化学物質を対象に、最新版のSDSを確保することに務めています。SDSは社内データベースに掲載され、化学物質のリスクアセスメントに役立てられ、職場延いては周辺環境への安全に役立てられています。

※5: 化学物質等の安全データシート。Safety Data Sheetの略。

社内SDSデータベース

化学物質の適正管理_SDS

VOC大気排出量削減

当社はVOC※6の大気排出量を削減するため、使用量の低減や回収装置の導入といった対策を進めています。VOCは主に工業用洗浄施設で使用されており、エタノールやIPA、アセトンが主な排出物質となっています。

※6: 揮発性有機化合物のことで、Volatile Organic Compoundsの略称。

化学物質取扱状況の点検

化学物質としてのリスク評価は、SDSで基礎づけられますが、実際のリスクの度合いは、その使用環境下に大きく左右されます。当社では、化学物質の専門部会である化学物質部会の下、取扱い職場や薬品庫を定期的に点検しています。点検時の問題点などはすみやかに是正するとともに、本部化学物質部会にて報告し情報共有を行っています。

 

化学物質取扱状況の点検

化学物質の訓練/安全教育

化学物質使用者の適切な取り扱いに対する意識向上を図り、環境事故を予防するため、対応マニュアルの整備、緊急対応用具の設置・点検、緊急事態への対応訓練を実施しています。薬液漏洩時の対応訓練、屋内のガス漏洩時の避難訓練や空気呼吸器装着訓練など、計画に基づいて年1回以上実施しています。
また化学物質の使用者や責任者に対し、安全教育を定期的に実施しています。社内外での事故事例の紹介や外部講師による専門教育など、化学物質取り扱いのリスクについて理解することを目的としています。

化学物質漏えい時の訓練

化学物質漏えい時の訓練

定期的な安全教育

定期的な安全教育

廃棄物の適正な管理

廃棄物のデータ

循環経済型社会への移行を目指して、最終処分量の削減ならびに、再資源化と再利用を含む資源有効利用の観点から、廃棄物の適切な分別、製造不良品の削減、不要設備や容器包装材のリユースやリサイクルに取り組んでいます。5年間の廃棄物データ※7につきましては、下表およびグラフをご参照ください。

廃棄物の内訳

  72期 73期 74期 75期 76期
固形廃棄物 578 627 695 720 850

廃プラスチック類

163 148 161 212 188

有害廃棄物※8

315 311 407 358 402

再利用目的の回収量

293 287 317 285 355

処理の内訳

  72期 73期 74期 75期 76期
再利用量 293 287 317 285 355

リサイクル量

521 514 644 694 658

熱回収量

104 141 145 113 108

最終処分量

15 7 3 6 14

最終処分率※9

1.3 0.6 0.2 0.5 0.9

※7: 76期より、廃棄物データを基礎づける考え方を、日本の廃棄物の処理及び清掃に関する法律からEUの廃棄物枠組み指令に変更し、開示範囲を浜松ホトニクス単体から連結に拡大しました。なお、ここでの連結の範囲は、製造拠点が主で、営業所等の小規模拠点は除きます

※8: 法令等で有害廃棄物として指定された廃棄物。重金属、有機塩素化合物やダイオキシン類を一定濃度以上含む汚泥、廃酸、廃アルカリ、またはPCB、廃石綿、廃水銀などが含まれる

※9: 最終処分率:排出量に対する最終処分量の比率。当社では、日本の電機・電子機器業界の循環型社会形成自主行動計画の目標を参考にして、最終処分率1.8%以下の数値目標を設定しています。

廃棄物処理委託先の適正処理の確認

当社が委託する廃棄物処理業者すべてに対して、委託廃棄物が適正に処理されている状況を、すなわち、委託先の処分業許可証の内容や、廃掃法で規定されている廃棄物の処分や保管における法定要件の遵守状況、そして周辺住民と良好な関係を構築しているかといった項目について、毎年確認しています。委託先の監査では、廃棄物の運搬から最終処分に至るまでの全過程をレビューしています。まだ事例としてはありませんが、仮に不適正処理が確認された場合は、法令に従い行政への通報を行います。

廃棄物処理委託先の適正処理の確認

廃棄物処理委託先の適正処理の確認

廃棄物処理委託先の適正処理の確認

廃棄物処理委託先の適正処理の確認

有害廃棄物の適正処理

廃棄処理の過程で特に注意を要する廃棄物が、法令において定められています。こうした廃棄物に対して当社は、環境に影響を及ぼさない処理が可能な委託先を選定するとともに、委託廃棄物が適正に処理されている状況の確認に努めています。
中でもPCB廃棄物は、処理期限が法令で規定されており、処理施設も限られているといった特殊事情があることから、厳重に管理・対応をしています。

土壌および地下水の汚染の防止

当社の製造プロセスの中には、有害物質を含んだ廃液を排出する工程もあります。そうした廃液が通る配管が損傷し、亀裂を通じて有害物質が漏出すれば、土壌または地下水の汚染を惹起する可能性があります。水質汚濁防止法の改正により、地下に埋設された配管等であっても、漏洩有無の点検が義務付けられておりますが、当社は汚染のリスクをより勘案し、必要性に応じて地下埋設配管やタンクの地上化を行っています。加えて、日本は地震が多いため、振動による配管の破損を防ぐため、一部にフレキシブル配管を採用するなどの対策を取っています。

埋設配管の地上化とフレキシブル配管

埋設配管の地上化とフレキシブル配管