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DIUTHAME

イオン化支援基板 DIUTHAME(ジュテーム)

開発者コラム

DIUTHAME

DIUTHAMEの確立によって究極の「質量顕微鏡」開発も現実味を帯びてくる

光産業創成大学院大学
内藤 康秀 准教授

イオン化支援基板 DIUTHAME(ジュテーム)の持っている特長や可能性などのメリットから、現状抱えている課題とその改善方針まで、共同開発者である光産業創成大学院大学の内藤康秀 准教授にお話ししていただきました。


質量分析の発展の歴史を振り返ると、新規イオン化法の発明が新しい潮流をもたらし、それが絶えず繰り返されてきたことで、100年以上にわたって研究領域としての活力を生み出し続け、現在このように繁栄していることが分かります。
画期的なイオン化法の発明は常に質量分析の飛躍的な進歩と業界の繁栄に繋がっています。

DIUTHAMEもこのようなインパクトを与えるようになれればと願っています。
DIUTHAMEを用いたイメージング質量分析の空間分解能は、究極的には貫通孔サイズのオーダーである数百ナノメートルが期待できます。

これは現在のMALDIイメージング質量分析の性能からすれば夢のような話ですが、それにはDIUTHAMEだけでなく質量分析計本体を含めて諸々の開発課題があります。
しかし、DIUTHAMEの確立によってこの究極の「質量顕微鏡」開発も現実味を帯びてくるという展望を持っています。

DIUTHAME


DIUTHAMEが誕生した理由

DIUTHAMEを開発する前、私はイメージング質量分析の高解像度化に取り組んでいました。
装置解像度の向上によって高解像度化を目指していたのですが、そのアプローチには限界がありました。

なぜなら、イメージング質量分析で従来から用いられているイオン化手法「マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)」では、装置の空間分解能をどんなに改良しても、解像度はマトリックスと呼ばれるイオン化支援用化合物の結晶サイズを超えることができない。
イメージング質量分析の高解像度化を達成するには、装置開発とは別にマトリックスに頼らないイオン化法がどうしても必要でした。


DIUTHAMEで得たマススペクトルにノイズが少ない理由

DIUTHAMEではMALDIで使用するマトリックス溶液に代わって、貫通孔ポーラスアルミナ薄膜を使用するためです。
MALDIの場合、マトリックス由来の低質量イオンが強いノイズとして出現するため、低分子量成分の測定に不向きと言えます。
一方のDIUTHAMEではそもそもマトリックスを用いませんので、低分子の測定が妨害されず鮮明なマススペクトルが取得できます。


DIUTHAMEという手法が新しい理由

DIUTHAMEと共通の動作原理に基づくイオン化法として表面支援レーザー脱離イオン化法(SALDI)があり、数種類のSALDI基板が製品化されています。
しかし、現在市場に出回っているSALDI基板は貫通孔構造を持たないのでイメージング質量分析には適用できません。
そういう意味でDIUTHAMEは、SALDI基板とも明確な違いを持った全く新しいイオン化手法と言えます。


DIUTHAMEがイメージング質量分析に適している理由

開発当初からターゲットとしていたイメージング質量分析では、DIUTHAMEによってサンプルをマトリックスでコーティングする工程が不要になります。
これによって作業性が向上すると共に、高品質のデータが再現性良く取得できるようになると期待されます。
また、イメージング以外の分野でも、測定対象成分の性質によってマトリックスとの共結晶化が起こりにくい場合や、対象サンプルに含まれる塩や添加剤などの夾雑物の濃度が高すぎてマトリックスの結晶化が阻害される場合など、MALDIの適用が困難なサンプルには効果的であると考えています。


これからもDIUTHAMEの開発が続く理由

生体分子の多くはプロトンの付加によりイオン生成しますが、そのような対象サンプルではDIUTHAMEはMALDIに比べて感度が見劣りします。
これは、MALDIではマトリックスがプロトン供給源として作用するのに対し、DIUTHAMEにはそのような作用がないためです。

幅広い用途でDIUTHAMEが使われるようになるにはさらに高い感度が必要ですので、今後も高感度化に向けて開発を続けます。
また、DIUTHAMEの動作機構は実のところほとんど未解明なのですが、その探求の中で高感度化が達成されていくと考えています。

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