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DIUTHAME

インタビュー03 | イオン化支援基板 DIUTHAME(ジュテーム)

 

DIUTHAME

DIUTHAMEという新たな選択肢が生まれたことで、
今まであきらめていた分子を検出できる可能性が出てきた。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
三枝 大輔 講師

質量分析計をはじめとする様々な分析機器を使いながら臨床検体に含まれるメタボロームの解析を行っている、三枝講師に研究におけるDIUTHAMEのメリットや今後の展望をインタビューしました。


本日は貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございます。
まずは、先生のご研究の内容を簡単にご説明いただけますか。

私は、臨床分析化学を専門としており、主に臨床検体に含まれるメタボロームの解析に、質量分析計をはじめとする様々な分析機器を使っています。特に、LCMSによる解析をメインで行っていますが、近年、組織切片上における代謝物の分布を可視化する新たな技術としてイメージングMSが開発されたこともあり、3年ほど前からLCMSとイメージングMSを組み合わせた解析を実施しています。
分析対象は、分子量が50〜1000程度の低分子メタボロームであり、研究目的によってターゲット分子をどのように検出するかという所から考え、LCMSによる定量解析や組織切片の代謝物の分布解析方法を自分で構築したり、過去の手法を応用して解析しています。


質量分析においては、様々な質量分析計を使い分けて研究や解析をされているという事ですが、それらの解析における測定対象は具体的には何になるのでしょうか。

私が扱っている具体的な検体としては、動物の場合、液体成分では血液や尿、組織では脳、肝臓、腎臓、脾臓等多種に渡ります。ヒトの場合、血液、尿、脳脊髄液など液体成分に加え、肝組織などを扱っています。
これら検体測定において、私が現在取り組んでいる研究は2つあり、1つはコホート研究で得られた血液や尿などのLCMSあるいはGCMSによるメタボローム解析です。もう1つは、癌をはじめとするさまざまな疾患検体に含まれるメタボローム解析であり、疾患予防バイオマーカーの開発や、リゾリン脂質を始めとする脂質メディエーター解析であり、こちらにはLCMSやイメージングMSを使用して解析しています。


リゾリン脂質の解析に質量分析計を頻繁に使われているとの事ですが、それについてもう少し詳しく教えていただけますか。

リゾリン脂質は、脂質メディエーターとして生体内機能を有することから病気の発症に関連する可能性が示唆されている分子群で、分子種の数が多いことに加え、生体内濃度が微量の分子が多いことから、質量分析計による測定が好適と考えられています。我々は既に、LCMSによる分析法を構築しており、疾患検体やモデル動物の解析に応用しています。

そんな中、最近もっとも注目していることは、癌患者さんから得られた組織検体の癌部と被癌部に含まれるリゾリン脂質の違いを解析することで、そのリゾリン脂質が癌を説明するバイオマーカーになるのか、あるいは癌治療の効果を説明するバイオマーカーになるのか、という疑問に対して答えを導き出すための解析です。
まだ少し先の話になりますが、これらの解析を突き詰めた先には、高い精度で「血液1滴から癌が分かるようになる」といった成果が見えてくると考えています。もちろん、リゾリン脂質の疾患マーカーとしての機能評価には、生物学的な解析が必要になりますが、質量分析計は様々な解析に応用可能な極めて重要な基盤技術であると考えています。

DIUTHAME


以前からイメージング質量分析をされていたとの事ですが、これまで苦労されていたことなどはありますか。

我々は、MALDIによるイメージングMS解析を行ってまいりましたが、用いるマトリックス試薬由来のマススペクトルが多く検出されることから、標的にした分子由来のマススペクトルと重なることにより検出ができず、断念することがありました。
従って、イメージングMS解析は、試料から得られたマススペクトルが、本当に測定対象に由来するものか、あるいはアーチファクトやマトリックス由来かを精査する必要がありますので、特に試料に含まれる未知の分子を対象とした測定を行った場合、解析が極めて煩雑になってしまう経験が多くあります。


DIUTHAMEを知った時も、その様な苦労をされていたのでしょうか。

はい、その通りです。試料から得られたマススペクトルがマトリックス由来のフラグメントイオンだったり、マトリックスと他の分子が結合した分子由来のマススペクトルだったり…。
そんなことを繰り返していた時に、参加した学会のポスター発表で、イメージングMS解析においてマトリックス不要である新規技術として、「DIUTHAME」を知り、その場で急いで浜松ホトニクスの担当の方をご紹介頂き、声を掛けさせていただいたことを覚えています。やはり苦労のもととなっていたマトリックスが要らない点が魅力的でした。


その後も継続的にご使用いただいている中で、今現在はどんな感触をお持ちでしょうか。

まずはDIUTHAMEを用いた場合、MALDIのみによる測定で得られたマススペクトルと比較して、非常にバックグラウンドイオンが低く、今まで見えなかったイオン類がはっきり見えてきたという実感があります。
それに加えて私はMALDIの他にDESI(脱離エレクトロスプレーイオン化)をイオン化法に選択したイメージングMS測定も行っているのですが、実際に測定していく中で、DESIにDIUTHAMEが非常に向いていることが分かってきました。


三枝先生に「DESIでも試してみたい」とお声かけいただいた時のことはよく覚えています。当時の私達は、DIUTHAMEの応用先をMALDIが用いられる分野だと決めつけていた所がありました。
そういった背景もあって先生には非常に新しい展開に気付かせてもらったという思いがあるのですが、改めてDESIにDIUTHAMEを展開する利点や展望などをお聞かせいただけますか。

そもそも質量分析計を用いた場合の分析対象となる生体内代謝物は、室温条件下における分解あるいは分解産物の増加が懸念されています。その原因は酵素反応や分子の安定性の問題が示唆されていますが、これが起こってしまうと本来の生体内条件と異なった測定結果が得られていることになります。

MALDIの場合は、予め塗布したマトリックス中に代謝物を抽出してから分析しますので、一般的にはDESIほど測定中の温度条件の影響は考える必要がありません。
一方、DESIは室温条件下で測定するので、時間経過に応じて分解して分析対象化合物が無くなってしまう点が欠点になっていました。 この問題に対して、DIUTHAMEはあらかじめ代謝物を抽出することになりますので、DESI測定に向いていると考えられます。これは非常に画期的な技術で、今後DESIを使うイメージングMS解析では必須になるのではと思っています。

DIUTHAME

※本インタビューには、同研究室学術研究員の齋藤様にもご同席いただきました。


DESIにおいても作業面が簡便になるだけでなく、今まで見えなかったものが見えてくる可能性があるということですね。

そうですね。DESIだけでなく、LDIにおいても時間的な制約や環境的な制約でこれまで分解して検出されなかったものが見えてくる可能性があります。


DIUTHAMEを最初に見た時から、「DESIでも使えるぞ」という直観はあったのですか。

いいえ、DESIでも使えるかも知れないと感じたのは、浜松ホトニクスの技術担当の方に実験の立ち会いをしてもらった際、MALDI用の組織切片でDIUTHAMEを接着した時です。DIUTHAMEの毛細管現象を利用して「じゅわっ」とさせるのが重要だと、実際に自分の眼で確認して、「これは、DESIに使える!」と直感的に感じました。
また、私は組織切片に含まれる代謝物の分解に関する条件検討を行なった研究も行なっています。その成果を論文にした際、“ヒートスタビライザーによる加熱で酵素を失活させ、代謝物の分解を止める方法”を本文中で述べているのですが、動物から組織を採取し、さらに小さく切断してからヒートブロックに挟んで加熱し、その後に凍結切片を作成してイメージングMS解析を行うという煩雑な実験操作になってしまうので、大変苦労していました。
DESIによる解析の問題を常に考えて苦労していたからこそ、DIUTHAMEのような革新的な技術にすごく敏感であり、「ピン」ときたっていうのはありますね。


MALDIイメージングと比較しても、DIUTHAMEを使う意味はありそうですが、先生はどのようなお考えでしょうか。

MALDIとDIUTHAMEは並列される技術だと感じています。すなわち、DIUTHAMEは組織切片上の代謝物をイオン化する際に選択するマトリックスの一種といった感覚で捉えており、イメージングMSを用いる研究の前処理技術の選択肢のひとつになるのではないでしょうか。DIUTHAMEという新たな選択肢が生まれたことで、今までイメージングMSによる検出を諦めていた対象分子が検出できる可能性を検証できるようになったと思います。
さらにDIUTHAMEは、MALDIの前処理に用いるマトリックスよりも扱いが簡単です。マトリックスを塗布する際は、スプレーで吹き付ける技術やスプレーと蒸着と組み合わせる技術を習得する必要があり、化合物の検出に最適なマトリックス条件を設定しなければならず、完全に習得するためには、2、3年程度かかると思います。さらに、前処理に使用する器具由来の夾雑物の影響を除くため、器具を分解して丁寧に洗浄することやフッ素コーティングする場合もあり、MALDIイメージングには多くの経験が必要であると考えられます。


MALDIを補完するような役割も期待されますね。セッティングに関しても、ハードルはそれほど高くないという感触をお持ちですか。

はい、組織切片が滑らかに切れていれば、DIUTHAMEを置くだけの簡単な作業ですし、組織に十分な厚みがあれば溶解させた時に、問題無くDIUTHAMEと組織が吸着します。そして、そのままイメージングMSによる解析が可能です。
もし組織切片の表面に凹凸のある検体にDIUTHAMEを使用した場合でも、表面の段差が改善される可能性があるかもしれません。これはDIUTHAMEの本質的な効果ではないですが、少し嬉しい副産物かもしれませんね。


今後、デバイスの機能面も絡めて期待する展開や応用はございますか。

イメージングMS解析において重要な点は、空間分解能と検出感度です。DIUTHAMEは、とても正確かつ小さな細孔を有しているため、空間分解能は問題ないので、検出感度を上げられる技術発展を期待しています。
私個人の研究対象分子としては、低分子領域の中でも、m/z 500以下で検出される代謝物や薬剤等を高感度に測定したいと考えています。恐らく測定条件の設定段階で工夫が必要になると思いますが、是非挑戦したいと思います。
今までのイメージングMS解析で検出できなかった測定対象分子がまだ数多くありますので、その検出に再挑戦しつつ、先ずは幅広く観察し、何がどのくらいみえるのかを明らかにしていこうと思っています。


本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
少しでもDIUTHAMEをご期待に沿えるものにしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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