知的財産活動について

基本的な考え方

浜松ホトニクスグループは、経営理念として「光の未知未踏領域を追求し、そこから生まれる知識や新技術に基づいた新しい産業を創造し、科学技術の進歩とより豊かな社会・環境の実現、人類の健康と幸福に貢献します」と謳っており、「光産業創造の過程で得られた知識、ニーズ、技術」が事業の根幹であり、得られた成果を製品として安定供給することで社会貢献すると共に、「知的財産権」により保護することで、「事業を側面から支援する」ことが重要であると考えております。

このような経営理念のもとでの企業活動にあたり、当社グループでは法令及びその精神を遵守するとともに高い倫理観と責任感をもって行動し、社会から信頼と共感を得るべく浜松ホトニクスグループ行動指針・姿勢を制定しております。浜松ホトニクスグループ行動指針・姿勢では、「取引に際して相互の知的財産権を尊重すること」を明記しておりますように、知的財産活動においても、他者の知的財産権を尊重し、侵害することがないように努め、適切な対応を致します。

一方で、当社の高品質な製品を安定的に供給することを妨げる行為には、知的財産権を活用し適切でかつ正当な対応を致します。

当社グループでは、この考え方に基づいて知的財産活動をしております。

 

浜松ホトニクスグループ知的財産活動方針

1. 事業戦略に即した知財戦略に基づき、事業活動に有効な知的財産権を取得します。

(1)事業に貢献できる発明の発掘/出願/権利化

(2)重要製品/重要テーマに関する知財ポートフォリオの強化

2.他者知的財産権(特許権)に対して適切に対応します。

(1)特許係争等のトラブルを未然に防ぎます。(他者特許調査・解析等)

(2)事業のニーズに応じて適時、適切な対応をします。

3.知的財産権(特許権)を活用してビジネスに貢献します。

(1)第三者による侵害行為に対する適切、かつ正当な対応をします。

4. 知財情報の提供により、研究・開発の促進、製品の安定供給を支援します。

5.グローバル化に向けて、国内外子会社の知財業務を支援します。

6. 1~5により、当社及びグループの売上、利益の増加に貢献します。

具体的な取り組み、及び実績

2023年10月に職務発明等取扱規定を改訂し、特許、意匠、ノウハウ等に関わる補償金を大幅に引き上げました。当社にとって事業の根幹である「光産業創成の過程で得られた知識、ニーズ、技術」から新たな産業を創成する上で、日々直面する多くの困難に意欲的に取組み、乗り越えていく技術者・研究者個々の姿勢(マインド)が非常に重要です。補償金の大幅増によって技術者・研究者のモチベーションが喚起され、「新たな事業の創出」という好循環を生み出すものと期待しています。

また、事業/研究戦略に沿った知財戦略の立案、知財ポートフォリオの構築及び利活用をより戦略的に実行する為に、下記①、②からなる知的財産本部を設立しました。

 

 

① 知的財産企画管理部
海外子会社を含む浜松ホトニクスグループ全体における契約・交渉、他社との係争、知財情報の社内外への展開(教育・啓蒙、広報・IR)、知財管理を担当。
 

② 知的財産戦略部
特許、意匠、商標の発掘から出願・権利化までや他社特許対応に精通するだけでなく、事業部/研究所における事業や研究にも精通したスタッフを集結して、事業部/研究所と協働する知財戦略チームを、事業部/研究所毎に配置しました。

各知財戦略チームでは、その事業部/研究所の技術情報、市場情報、知財情報が集約され、事業・研究戦略に沿った知財戦略をそれらの情報に基づいて立案し、発明発掘から出願・権利化までや他社特許対策等の知財活動を進めます。また発掘された「発明のタネ」を多様な人材(思考)が多面的な情報に基づいて「育くむ」ことで、知財ポートフォリオの強化を促進し、知財ポートフォリオを戦略的に利活用することで、事業戦略推進を支援してまいります。

また技術情報、市場情報、知財情報等の多面的な分析結果を事業部/研究所に提供することで、事業・研究戦略の精査・見直しに貢献してまいります。

 

 

当社では国内に出願した案件の約75 %を外国にも出願し、権利化を図ることで、世界各国における当社の事業を支援しています。

図1に示すように当社は平均780件/年の知的財産権を世界各国で取得していますが、76期(2022年10月1日~2023年9月30日)は849件の知的財産権を取得しました。

図1:知的財産権(商標を除く)登録件数推移

 

 

その結果、2023年10月1日現在で図2に示すように全世界で8,554件の知的財産権を保有しています。

図2:知的財産権の種類別保有件数

 

 

地域別知財保有割合を図3に示しますが、同日現在、日本31 %、米国20 %、欧州(英独仏等)22 %、アジア(中、韓、台)22 %で、製品の販売地域における売上比率と概ね一致しています。

図3:知的財産権の国別保有割合

 

 

知的財産権(特許、実用新案、意匠)の事業種別保有割合を図4に示しますが、同日現在、電子管事業18 %、光半導体事業36 %、画像計測機器事業16 %、レーザ事業11 %、新規事業を含むその他が19 %となっており、保有する知的財産権の約8割が現在の売上を牽引する事業に関連しており、そのうち2/3が製品に実施され、1/3は戦略的なポートフォリオの一部を構成しています。

※図4は、2023年10月の組織変更を反映させた数字で、従来その他の事業としていた化合物半導体や半導体レーザの知的財産権は光半導体素子事業に、電子管事業としていたレーザ加工装置の知的財産権はレーザ事業に含めています。

図4:事業別知的財産権(商標を除く)保有件数/割合