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非破壊検査 | X線

X線とは

X線は波長1 pm 〜 10 nmの電磁波です。可視光線や紫外線の波長よりも短く、大きなエネルギーを持つため、様々な物質を透過することができます。波長が短く透過しやすいものを硬X線、波長が長くエネルギーが低いものは軟X線と呼ばれています。

X線とは

X線検査の原理

X線を用いた非破壊検査では、X線を発生する真空管である「X線源」よりX線が照射され、検査対象物を通過し「X線検出器」へと入射します。X線が対象物を透過するとき、検査対象物に遮られて減衰するため、X線の透過率に応じて白黒の濃淡で画像が映し出されます。対象物を透過して撮影するX線画像の撮影では、X線の発生量とその波長によって取得する画像の鮮明さが変わってきます。

 

X線源は「管電流(A)」を上げることでX線の発生量が増えるため、X線画像の明度を明るくすることができ、「管電圧(V)」を上げることでX線の波長を短くできるため、物質を透過しやすくすることができます。物質によって透過に必要な管電圧(V)は変わるため、試料に合わせて適切な電圧と電流の条件設定が必要となります。また、X線の焦点寸法をマイクロメートルオーダーにすることで、高幾何学倍率時でもボケの少ない高精細なX線画像の取得を可能にします。

X線検査の原理

管電圧

管電圧の値が高いほどX線のエネルギーが高くなり、対象物に対するX線透過性も高くなります。対象物に適した管電圧値を設定することで高コントラストなX線画像が得られます。

管電流・出力

管電流の値が高いほどX線量が増加するため、明度の高いX線画像が得られます。対象物が同じ場合、一般的に管電流・出力が高いほど、撮像時間が短くなるとともに、速い搬送速度への対応が可能となります。

焦点寸法

焦点寸法は画像の解像度(分解能)に直結します。X線焦点寸法が大きいほど、高幾何学倍率撮影時の半影による輪郭ボケも大きくなります。反対にX線焦点寸法が小さいほど、輪郭ボケの少ない高精細なX線画像が得られます。

X線放射角度

広い放射角度は照射距離を抑えるとともに大型対象物への対応を可能にします。また、斜め方向からの撮像による立体形状観察も可能にします。用途や対象物に合わせて、最適なX線放射角度をお選びください。

X線非破壊検査の手法・用途

X線を用いた非破壊検査の手法は、生産ラインにおいて「インライン検査」と「オフライン検査」の大きく2つの方法に分けられます。ここでは、それぞれの検査における特長や用途、検査事例をご紹介します。

インラインX線検査

生産ラインに検査工程を組み込んで検査する手法である「インライン検査」は、生産ロット数の多い製品の全数検査に適しています。検査工程を自動化することにより、コスト削減が可能です。また、生産ラインの途中で異常を検知できるため、生産性が良いというメリットもあります。一方で、導入や自動化にあたっての設備設計に手間とコストが必要となります。

インラインX線検査構成例

検査事例

ECU(Engine Control Unit)

クラック(亀裂)とボイド(気泡)を確認。

スマートフォン回路基板

積層セラミックコンデンサ(0402サイズ)の内部構造を確認。

車載用円筒型LiB

正極・負極のギャップ検査。

ベビーフード

金属蓋に重なった金属異物を確認。

関連製品

 

インラインにおけるX線CT検査の実現に向けて

X線検査では、複雑な構造の検査や微細な欠陥を見つける要望が高まってきており、オフライン検査や抜き取り検査での3D画像が求められるようになってきました。将来的にはインラインでの全数検査で3D画像が求められると考えられています。X線CT検査は、検査対象物にさまざまな方向からX線を照射し、コンピュータで再構成処理を行うことで、検査対象物の内部構造を3Dで確認する方法です。

弊社では、高精細なX線CT画像を取得するために不可欠なマイクロフォーカスX線源、高速動作可能なX線フラットパネルセンサやフォトダイオードアレイの両製品の開発・製造を行っている世界でも数少ない企業です。いずれ寄せられるであろうインラインCT検査のニーズに対するソリューションもご提案いたします。

構成例

インラインX線CT検査装置構成例

撮像例

インラインX線CT検査撮像例

オフラインX線検査(2次元/3次元CT)

生産ラインとは別に検査工程を設けて検査する方法である「オフライン検査」は、複雑な形状の製品・単価の高い製品の構造解析などに適しています。インライン検査に対して、より精密な検査・解析や、生産ラインにおける抜き取り検査が可能となります。一方で、生産ラインからの運搬など手作業が必要となることが多く、手間と時間がかかるため全数検査には不向きな手法です。

 

「オフラインX線CT検査」は、検査対象物にさまざまな方向からX線を照射し、コンピュータで再構成処理を行うことで、検査対象物の内部構造を3次元で確認する方法です。3次元画像を取得できるため、より高精度な検査や解析が可能となります。連続して断層写真を撮影し異常箇所の変化を追うことで、半導体や電子部品、パワーモジュール等における断線箇所、部品クラック、多層基板内部の異常層を特定する際に有効です。異なる材料で構成された物質の場合だけでなく、同一材料の場合も密度の違いからその差を計測することができるため、新素材や小型鋳造品、複合精密部品の評価にも活用されています。

オフラインX線検査装置構成例

検査事例

GPU(Graphics Processing Unit)

内部欠陥観察や寸法計測。

ご提供:株式会社ユー・エイチ・システム 様

アルミダイキャスト

鋳造内部空洞の詳細情報を取得。

ご提供:東芝ITコントロールシステム株式会社 様

リチウムイオン電池

内部構造の詳細な確認。

ご提供:Thermo Fisher Scientific Inc. 様

解析装置:HeliScan high resolution microCT system

CFPR(炭素繊維強化プラスチック)

 繊維の配向性や細孔の詳細な情報を取得。

ご提供:Thermo Fisher Scientific Inc. 様

解析装置:HeliScan high resolution microCT system

関連製品

「くるま・エレクトロニクス」「食品」「構造解析」「インフラ」「セキュリティ」をテーマに、応用例を交えながら最適な製品ラインアップをご紹介します。

その他の検査手法

試写のご案内

浜松ホトニクスは、試写を通じて非破壊検査における最適なソリューションを提案します。

浜松ホトニクスでは、お客様からの非破壊検査のご要望に対する事前評価として、各種X線源やセンサ、カメラによる試写を行っております。弊社は非破壊検査装置メーカーではないため、特定のメーカーの装置に偏らず最適な光源、検出器などの面からデバイス・装置の選定をお手伝いいたします。

また、最適なデバイスの紹介だけでなく、長年のビジネスで培った経験をもとに、撮影のコツやノウハウも含めた最適なソリューションを提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

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