ブロードバンド光源の選び方 | 光源・線源

光源には、レーザやLEDのように特定の波長域を利用するものや、ランプのように幅広い波長帯域を利用するものなど、さまざまな種類があります。用途や測定対象によって求められる波長帯域や出力特性が異なるため、適切な光源を選ぶことが重要です。

その中でも幅広い波長帯域を利用できるブロードバンド光源 (広帯域光源・白色光源)に着目し、その特長と選定ポイントをご紹介します。

ブロードバンド光源とは

ブロードバンド光源 (広帯域光源)とは、一般に白色光源とも呼ばれる広帯域のスペクトルを有する光源の総称です。紫外 (UV)から可視 (VIS)、近赤外 (NIR)、製品によっては赤外 (IR)領域までの幅広い波長帯域を出力できることから、分光分析、材料評価、半導体検査・計測、ライフサイエンス分野などで広く利用されています。

浜松ホトニクスでは、連続点灯に適したキセノンランプ、高速パルス発光が可能なキセノンフラッシュランプ、高輝度・高安定なレーザ駆動プラズマ光源 (LDLS®)、高輝度かつ優れたビーム品質を有するスーパーコンティニューム光源など、多様なブロードバンド光源をラインアップしています。

これらの光源は、波長や発光モード、照射エリア、安定性・寿命などによって特性が大きく異なります。本ページでは、光源選定で重要となるこれらの観点から、各光源の特長と選定ポイントをご紹介します。

キセノンランプ

キセノンランプ

  • 連続点灯
  • 高安定
  • 空間出力

キセノンフラッシュランプ

  • 高ピーク出力
  • 放電パルス光
  • 空間出力

レーザ励起プラズマ光源 LDLS

レーザ励起プラズマ光源 LDLS®

  • 高輝度点光源
  • 高安定
  • 空間出力/ファイバ出力

スーパーコンティニューム光源 SuperK

  • 高輝度
  • 優れたビーム品質
  • ファイバ出力

光源選びの4つのポイント

波長から選ぶ

ブロードバンド光源を選定する際には、まず使用したい波長帯を明確にすることが重要です。光源ごとに対応可能な波長域は異なるため、目的とする波長帯に応じて最適な光源を選択する必要があります。

例えば、390 nm未満のUV領域ではSuperKは発振できません。そのため、UV領域の光が必要な場合には他の光源を選択する必要があります。また、MWIR ~ FIR領域が求められる場合にはキセノンフラッシュランプやLDLSの赤外タイプが選択肢となります。

このように「どの波長を使用して何を観察・計測したいのか」を明確にすることが、ブロードバンド光源選定の第一歩となります。

発光モード (時間)から選ぶ

光源の発光モード (連続光・放電パルス光・レーザパルス光)は、それぞれ本質的に対応可能な時間スケールが異なります。そのため、どの時間幅で信号を捉えたいかによって、最適な光源は大きく変わります。

ここでは、各発光モードの時間特性を比較しながら、発光モードの違いによる選定の考え方を整理します。

 

なお、瞬間的な発光強度 (ピークパワー)を求める式を次の通り仮定します。(fR: 繰り返し周波数、tP: パルス幅、PAV: 平均出力)

Pp = 0.94 × PAV fR × tP

▪ミリ秒以上の測定

  • 長時間照射による積算でS/Nを確保しやすい
  • 光量変動が小さく、定常測定に適している
  • ゲート同期を必要としない一般的な測定系に適している

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▪マイクロ秒 ~ ミリ秒の測定

  • 瞬間光量が大きいため、短いゲートでも十分な信号量を得ることができる
  • 背景光をゲートでカットできるため、高コントラスト測定に適している
  • 電子シャッタ付き検出器と組み合わせることで、時間選択性を向上できる

おすすめ製品

▪ナノ秒レベル以下の測定

  • パルス幅が短く、高い時間分解能が必要な測定に適している
  • 背景光の影響を抑え、微弱信号を高精度で取得できる
  • 高速性とブロードバンド性を両立できる

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照射エリアから選ぶ

照射エリアを検討する場合、主に(1) 照度と輝度、(2) 光の利用目的、(3) 発光点サイズと光の切り出し条件の3点が密接に関係します。

以下では、照射エリアに応じた光源選定の考え方を整理します。

(1) 照度と輝度

▪照度: 照射面に届いた光の量

小さく集光するほど同じ光量でも照度は高くなり、その集光限界は輝度で決まります。

▪輝度: 光源から放射される光の密度

高輝度光源ほど小スポット化でき、高照度が得られます。 輝度は発光点サイズと光学系による光の切り出し条件に大きく依存します。

(2) 光の利用目的

▪照明: 広い範囲に均一な光を求めたい場合

発光点サイズが大きい光源が適しています。NAの大きいレンズと組み合わせることで、照射ムラを抑えた均一な照明を実現します。

  • 面全体を均一に照らしたい
  • 大きな領域で平均化された光量が必要

▪集光: 小さな範囲に光を集めたい場合

発光点サイズが小さく高輝度な光源が適しています。LDLSは高輝度な点光源であり、小スポットへの集光によって高照度を実現します。

  • 微小領域に高い光密度を与えたい
  • 効率良く光を集めたい

*照射エリアは発光点サイズよりも大きくなります。

▪伝搬/結合: 光を効率よく伝搬させたい場合

光ファイバ (シングルモード)への効率的な結合には、ビーム品質の高い光源が適しています。SuperKは狭発散で優れたビーム品質を有しており、高効率な光ファイバ結合を実現します。

  • 光ファイバに効率良く光を結合したい
  • 狭発散でビーム品質の高い光を得たい

(3) 発光点サイズと光の切り出し条件

輝度は、発光点サイズと光学系による切り出し条件に左右されます。SuperKやLDLSは発光点が非常に小さく、小スポットへ集光する場合でも高い照度を得ることが可能です。

▪ 発光点サイズの比較

安定性・寿命から選ぶ

「短時間の出力安定性」と「長時間の出力安定性」も光源の選定に重要です。

短時間の出力変動は測定精度やS/N (信号対雑音比)に直結し、長時間の出力変化は、光源の経年劣化による出力低下として現れ、交換周期や再校正頻度、装置停止 (ダウンタイム)などの製品寿命に直結します。

短時間の出力安定性とは

  • 秒 ~ 分オーダーで生じる出力変動の安定性を指す
  • 測定精度、S/Nに影響する

微小信号の測定や積算測定においてS/Nを重視する場合は、短時間安定性に優れた光源が適しています。

短時間の出力変動によるノイズは、平均回数や積算時間を増やすことで低減できますが、測定時間が長くなりスループットは低下します。

長時間の出力安定性とは

  • 製品寿命スケールにおける出力変化の安定性を指す
  • 寿命、交換頻度、ダウンタイムに影響する

光源の交換頻度を低減したい場合やダウンタイムを避けたい場合、また装置の稼働率を重視する場合は、長寿命で長時間安定性に優れた光源が適しています。

安定性・寿命の観点からみた各光源の特長

キセノンランプ

  • 短時間安定性: 当社独自に開発した高性能BI陰極を採用することで、アーク発光点のフラツキや移動がなく、高い安定性を実現

レーザ励起プラズマ光源 LDLS

  • 短時間安定性: 連続点灯において高い安定性を発揮する
  • 長時間安定性: レーザ励起方式により電極摩耗が少なく、長期運用時の安定性と寿命に優れる

スーパーコンティニューム光源 SuperK

  • 短時間安定性: パルス間の出力再現性に優れ、時間分解測定に適している (全体強度は中程度)
  • 長時間安定性: 寿命・堅牢性に非常に優れており、長期運用が可能

各評価項目は★の数による相対評価です。導入コストは★の数が多いほど低コストであることを示します。

光源選定サポートのご案内

お客様のご要求仕様や使用する光学系にもとづきシミュレーションを行い、用途に適した光源をご提案します。
お気軽にお問い合わせください。

シミュレーション例: 集光サイズの違いによる分光放射束

各光源からΦ1 mmおよびΦ0.1 mmのアパーチャで光を切り出した場合の分光放射束を比較したシミュレーション事例です。

シミュレーションの結果、アパーチャ径が大きいΦ1 mmでは光源間の差は比較的小さい一方、Φ0.1 mmでは光源特性の違いが分光放射束に大きく現れました。SuperKは発光点が非常に小さく、指向性の高い光源であるため、小さなアパーチャでも光を効率よく取り出すことができ、高い分光放射束を維持できることがシミュレーション結果から示されました。一方、他の光源では、アパーチャ径を小さくすることで取り出せる光量が減少し、分光放射束が低下する結果となりました。

このように、シミュレーションを活用することで、光源の特性や光学条件の違いが取り出せる光に与える影響を比較・評価することができます。

▪シミュレーション条件

  • NA: 0.2
  • 光学系の透過率: 100 %

▪シミュレーション結果

Φ1 mmに集光する場合

切り出しサイズが大きく、光源間の分光放射束の差は比較的小さい

Φ0.1 mmに集光する場合

切り出しサイズが小さく、光源特性の違いが分光放射束に大きく反映される

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