光電子増倍管モジュール

H15460-40

H15460-40は、GaAsP光電面を有する光電子増倍管を内蔵した光電子増倍管モジュールです。
有効面が14 mm×14 mmと広く、2光子励起顕微鏡への搭載に最適です。また、30 MHzの周波数帯域と0.02 V/μAの電流-電圧変換係数を持つアンプを内蔵しています。

応用例

多光子顕微鏡

蛍光分子に光子を2個ほぼ同時に吸収させて励起し、可視・紫外域の蛍光を観測する手法です。
一般の蛍光計測における励起光は蛍光波長よりも短波長ですが、多光子顕微鏡では蛍光波長よりも長波長の近赤外領域の光を用います。近赤外光は可視光よりも透過しやすく、測定対象深くの情報を入手でき、対象内部での散乱や背景ノイズの影響も軽減できます。
また、光の持つエネルギーが可視光や紫外光と比較して小さいため、細胞に対するダメージも抑えることができます。

 

その他の応用例はこちら

1光子励起顕微鏡との違い

レーザ顕微鏡

撮像例:マウス脳深部の観察

脳の宇宙を捉える顕微鏡(情報提供:理化学研究所 脳神経科学研究センター 村山 正宜 様)

この撮像例は、H15460-40相当品と専用の光学系を用いた顕微鏡によって、脳表から深さ500 µm程度にあるマウス大脳皮質5層の、6000個以上の単一神経細胞の活動を観測したものです。H15460-40の広い受光面積と高い感度が、広視野かつ高解像度の観察の実現に貢献しました。

 

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広視野

これまでの2光子顕微鏡で観察できる視野は0.25 mm2程度が限界でした。このような狭い視野では、マウスのように小さい動物の脳でも、複数の脳領域から神経細胞を同時に観察することはできません。
この測定では、視野拡大を実現するために広い有効面積を有するH15460-40が採用されており、独自の光学系を組み合わせることで、従来比36倍の視野で細胞の活動観察を実現しています。

深部観察

この測定では、細胞の活動を高い時間解像度で捉えるために、高速のレーザ走査が必要でした。しかし、レーザ走査速度を上げた場合、サンプルに対するレーザの滞留時間が短くなるため高S/N 像の取得が難しく、特にサンプル深部の撮像ではより顕著に蛍光量が減少します。
そこで、より多くの蛍光を捉えるために、高い感度と広い受光面を両立したH15460-40を、独自の光学系と合わせて使用しています。これにより、従来では得ることのできなかった蛍光を捉え、サンプル深部の高S/N 画像取得を実現しています。

有効エリア比較

仕様

受光面形状 四角形
受光面サイズ 14 mm x 14 mm
感度波長 (Short) 300 nm
感度波長 (Long) 740 nm
感度波長 (Peak) 520 nm
外形寸法 (W x H x D) 38 mm x 38 mm x 55 mm
入力電圧 ±4.5 V ~ ±5.5 V
最大入力電圧 ±5.5 V
最大入力電流 +26 mA / -23 mA
最大出力信号電圧 2 V
最大コントロール電圧 1.1 V
推奨コントロール電圧調整範囲 +0.5 V ~ +1.0 V
[陰極特性] ルーメン感度 Typ. 850 μA/lm
[陰極特性] 放射感度 Typ. 189 mA/W
[陽極特性] ルーメン感度 Typ. 3.4 x 107 V/lm
[陽極特性] 放射感度 Typ. 7.5 V/nW
[陽極特性] 暗中での電圧出力(30分後) Typ. 0.2 mV
[陽極特性] 暗中での電圧出力(30分後) Max. 1 mV
電流電圧変換係数 0.02 V/uA
出力オフセット電圧 Typ. ±5 mV
リップルノイズ (peak to peak)  Max. 0.5 mV
セトリングタイム Max. 10 s
動作周囲温度 +5 ℃ ~ +50 ℃
保存温度 -20 ℃ ~ +50 ℃
質量 98 g

外形寸法図 (単位: mm)

H15640-40-01の場合は、ケーブル端がBNC-Pプラグコネクタになります。

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