トップメッセージ

社会と産業の発展への貢献、株主価値の持続的向上の実現を目指す

当社グループを取り巻く経営環境は、世界的なインフレが継続する中、企業投資が下支えとなり、緩やかな経済成長が維持されました。一方で、アメリカの相互関税を巡る動向や各国の産業政策の転換、地政学リスクの高まりなどにより、先行きの不透明感も継続しました。このような環境下において、当社グループの業績は前期比で増収・減益となりました。産業用機器市場を中心とした需要の改善に加え、将来の成長を見据えた技術拡張を目的とした買収企業が当社グループに加わったことで増収となりましたが、企業買収や新工場建設・新ライン構築を含む設備投資などの戦略的投資が主因となり、減益となりました。

これらの投資は、中長期的に当社グループの競争力と収益力を高める施策であることに揺らぎはありません。

持続的な成長に向けた取り組み

今後の売上成長ドライバーとしては、まず半導体市場が挙げられます。当社グループの強みが、生成AI (人工知能)の普及、半導体の微細化の進展と合致しており、製品開発に注力しています。医用・バイオ向けでは、診断・治療・創薬支援の高度化を追い風に、付加価値の高いソリューション提案を深化させます。加えて、量子分野およびセキュリティ分野に大きな期待を寄せています。いずれも市場の拡大が見込まれる領域であり、当社グループの製品がその付加価値の高さから、市場において高い評価を得ています。量子分野においては、NEDO (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の量子コンピュータの産業化に関する事業に当社が単独で採択されるなど、量子コンピュータの実現に向けた開発を強化しています。
 

これらの成長市場に対応する製品製造に関わる設備投資は概ね完了しています。今後は、マーケティング活動を強化させるとともに、成果に結びつけるフェーズへと重心を移します。
 

収益性の改善に向けては、価格の適正化、新工場の有効活用、経営管理システムの刷新による業務効率化を重点テーマとして、キャッシュ創出力の底上げに取り組みます。さらに、コロナ禍の業績急拡大、その後の停滞を経て得た経験から、サプライチェーン全体の可視化と需要予測の高度化、間接業務の効率化も並行して進め、接続的な成長を可能とする体制を構築していきます。
 

こうした取り組みには、これまで進めてきた「横ぐし」活動ーー当社グループの事業・開発・製造・購買・品質・IT・管理部門を貫く横断連携ーーの成果が、まさに成否を分けます。課題の抽出、データに基づく状況把握と意思決定の迅速化、そして全グループにおける最適な資産配分を横ぐしでやり切る。これこそが、当社グループが不確実性の高い環境でも持続的に成長し、収益性を取り戻すための最短距離であると考えています。
 

私たちは、積み上げてきた投資を成果へと確実に転換し、社会と産業の発展に貢献しながら、株主価値の持続的向上を実現します。株主の皆様におかれましては、当社グループの中長期的な成長ストーリーと価値創造への取り組みに引き続きご期待いただくとともに、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2025年12月

代表取締役社長
社長執行役員
丸野 正