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MPPCとは | MPPC (SiPM)

MPPCとは

MPPC (Multi-Pixel Photon Counter)は、SiPM (Silicon Photomultiplier)と呼ばれるデバイスで、ガイガーモードAPDをマルチピクセル化した新しいタイプのフォトンカウンティング (光子計測)デバイスです。光半導体素子でありながら、優れたフォトンカウンティング能力をもっており、フォトンカウンティングレベルの微弱光を検出するさまざまな用途に利用することができます。

 

MPPCは、低電圧で動作し、高い増倍率、高い検出効率、高速応答、優れた時間分解能、広い感度波長範囲といった特長があり、フォトンカウンティングにおいて必要とされる性能を高いレベルで実現しています。さらに、磁場の影響を受けない、衝撃などに強い、入射光の飽和による焼き付きがないという固体素子ならではの優位性もあり、従来からフォトンカウンティングに用いられてきた検出器に代わる大きな可能性をもっています。動作が容易で高性能な検出素子であるMPPCは、医療・学術・計測などの広い分野で応用されます。

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構造

SPAD とMPPC の構造を以下に示します。SPAD は、ガイガーモードAPD とクエンチング抵抗を1 つのセットとして組み合わせた1 ピクセルで構成されています。MPPC は、そのSPAD を複数配列し、電気的に並列接続した複数ピクセルで構成されています。

構造

MPPCによるフォトンカウンティングのイメージ

基本動作

MPPCのピクセルは、それぞれがフォトンの検出時に同じパルスを出力します。複数のピクセルで発生したパルスは、重ね合わされて出力されます。たとえば、3フォトンが別々のピクセルに同時に入射して検出された場合、MPPCからは3つのパルスが重ね合わされた高さの信号が出力されます。各ピクセルからの出力パルス数は1つであり、入射フォトン数によって変化しません。1ピクセルに1フォトンが入った場合も、2フォトンが同時に入った場合も出力パルスは1つだけです。このことは、MPPCに入射するフォトンの数が増え、1ピクセルに入射するフォトン数が複数になった場合、入射フォトン数に対するMPPC出力の直線性が悪化することを意味します。入射フォトン数に見合ったピクセル数のMPPCを選択することが重要です。MPPCが検出したフォトンの数を見積もるために、以下の2つの方法があります。

(1) パルスを観測

光が、あるタイミングでMPPCに入射する場合、検出したフォトン数に応じて出力パルスの高さが変わります。
図は、MPPCにフォトンカウンティングレベルの光をパルス照射して、リニアアンプで増幅した出力をオシロスコープで観測した例です。1フォトン、2フォトン、3フォトン~と検出したフォトン数ごとにパルスが分離していることが分かります。
このパルスの高さを測定することによって、検出したフォトンの数を見積もることができます。

リニアアンプを用いたパルス波形

(2) 出力電荷を計測

チャージアンプなどを用いてMPPCからの出力電荷量を計測することによって、特定期間に検出したフォトン数の分布を見積もることが可能です。積算された電荷量の出力を弁別すると図のような分布が得られます。
ピーク値は、左からペデスタル、1フォトン、2フォトン、3フォトン~に対応します。MPPCは高増倍率のため出力電荷量が多く、検出フォトン数に応じた離散的な分布を示しています。

チャージアンプを用いたパルス波高スペクトル

使い方

MPPCの特性は、動作電圧や周囲温度によって大きく変わります。一般に動作電圧を上げることによって素子内部の電界強度が上がり、増倍率、検出効率、時間分解能が向上しますが、一方でダークカウント、アフターパルス、クロストークなどS/Nを低下させる成分が増加します。
優先すべき特性に合わせて、動作電圧を設定する必要があります。MPPCは用途に応じて、さまざまな使い方をすることができますが、ここではパルスを観測する場合の代表的な使い方を紹介します。
測定時には、広帯域のアンプとオシロスコープを使用すると便利です。図に広帯域アンプを接続する場合の接続例を示します。電源側の1 kΩ抵抗・0.1 µFコンデンサは、電源の高周波ノイズを取り除くためのローパスフィルタを構成します。
1 kΩ抵抗は、過電流に対する保護抵抗の役割も担います。MPPCは微弱光検出器ですが、シンチレータとのカップリング時など、大光量の光が入射する場合には大きな電流が流れ、保護抵抗における電圧低下が顕著になることがあります。
用途に応じて、保護抵抗の値を設定する必要があります。なお、アンプはできるだけMPPCの近くに接続してください。

MPPCの特性

 

  PD APD MPPC PMT
増倍率 1 102 ~ 106 ~ 107
量子効率
動作電圧 5 V 100 ~ 500 V 30 ~ 60 V 800 ~ 1000 V
受光面積 × × 拡張可能
狭いギャップを有する
マルチチャネル
×
読み出し回路 複雑 複雑 シンプル シンプル
雑音
ユニフォミニティ
エネルギー分解能
温度特性
外乱光耐性 ×
磁気耐性 ×
コンパクト・軽量化 ×

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