トップメッセージ

持続的成長に向けた当社グループの価値創造と事業戦略

2025年9月期の業績と今後の見通し

当社グループを取り巻く国内の経営環境としては、世界的なインフレ圧力が依然として続く中、企業による設備投資や研究開発投資が一定の下支えとなり、全体としては緩やかな経済成長が維持されました。しかしながら、国際的な経済情勢は決して安定しているとは言えず、アメリカの相互関税を巡る政策動向や各国で進行する産業政策の転換、さらには地政学的リスクの高まりなど、先行きに対する不透明感は引き続き強まりました。こうした複雑な外部環境の中で、2025年9月期の当社グループの業績は前期比で増収・減益という結果となりました。増収の背景には、産業用機器市場を中心とした需要の回復傾向があります。加えて、将来の持続的な成長を見据えた戦略の一環として、技術領域を拡張する目的で実施した企業買収が寄与しました。これにより、当社グループの事業領域は一層強化され、売上高の増加につながりました。

 

一方で、利益面では減益となりました。その主因は収益性の低下ではなく、長期的な競争力強化を目的とした積極的な投資活動にあります。具体的には、買収企業の統合に伴うコスト、新工場の建設や新生産ラインの構築など、設備投資を含む戦略的投資を計画的に進めたことが影響しました。これらの取り組みは、当社グループが中長期的な成長基盤を確立するために不可欠なものであり、将来的な収益拡大に向けた布石と位置付けています。

 

今後については、医用市場のお客様においてもコロナ禍以降長期に及んだ当社グループ製品の在庫調整に目処が立ち、2026年にかけて医用市場の売り上げは回復基調になることを見込んでいます。加えて、この数年にさまざまなお客様との間で推進してきた多数の開発案件が次期以降の売り上げに大きく寄与する見込みです。また、半導体市場における売り上げ増加と新規応用分野の拡大により、成長軌道を再び加速させます。

 

さらに、レーザ事業の黒字化は当社グループにとって極めて重要な課題であり、買収したNKT Photonics社を含めた事業全体の収益改善に向け、積極的な取り組みを進めています。現在、当社グループのレーザ技術は半導体、眼科医療、セキュリティ、量子など幅広い用途で市場拡大が期待されています。特に半導体市場においては、既存事業とのシナジーを最大限に発揮し、競争力を強化します。さらに、革新的なレーザ製品によるソリューションを提供することで、グローバル市場での存在感を高め、収益改善を目指します。

 

当社グループは、中長期的な視点で事業を運営し、市場の変化に柔軟に対応しながら、技術革新とお客様の価値の最大化を追求することで、持続的な成長を実現します。過去2年の業績低迷は、当社グループにとって大きな学びであり、今後の事業戦略において重要な指針となります。これからも、変化を恐れず挑戦を続け、グローバル市場での競争力をさらに高めていきます。

付加価値創造サイクルの強化

社会・環境・人類が抱えている問題はまだまだ多くあります。当社グループは、お客様と密接な関係を築き、課題やニーズを把握しながら、それを解決するために光技術で貢献しています。そして、ソリューションプロバイダーとして付加価値の高い製品を提供することで生まれた利益を、社会・環境・人類へのさらなる貢献のために使うというサイクルを回しています。私たちはそれを〈付加価値創造サイクル〉と呼んでいます。

 

当社グループの競争力の源泉は、付加価値を創造し続ける力にあります。この力を維持・強化するために、「テクノロジードリブン」「カスタマードリブン」「マーケットドリブン」という3つの視点を重視しています。これらは単なるスローガンではなく、事業活動の根幹を成す重要な指針です。テクノロジードリブンとカスタマードリブンは、従来からの強みであり、今後も成長の基盤であることに変わりはありません。光に対する知識のみでなく、製造技術など多くの技術を磨き続け、お客様の課題解決に直結するソリューションを提供することは、当社グループの使命であり、社会的責任でもあります。例えば、医療診断機器における高精度光デバイスの開発は、お客様の競争力を高めるだけでなく、社会全体の利便性向上にも寄与します。こうした技術革新は、当社が長年培ってきた研究開発力とお客様との信頼関係に基づいて実現されるものです。

 

マーケットドリブンの視点については、大きく発展する余地があると感じています。市場の変化を的確に捉え、ニーズを先取りするためには、マーケット情報の収集・分析を強化し、事業戦略に反映させることが不可欠です。グローバル市場では、技術革新のスピードが加速し、競争環境が複雑化しています。製品ライフサイクルは短縮し、お客様の期待は高度化・多様化しています。このような状況下で、当社はマーケットインテリジェンスを高度化し、製品開発や事業展開において迅速かつ柔軟な意思決定を行う体制を現在構築しています。具体的には、全社統一のERPシステムを導入しデータ分析基盤の強化、AIを活用した市場予測、フィードバックの即時反映など、デジタル技術を駆使した情報活用を進めます。

 

付加価値創造サイクルの強化により当社は市場における独自性を確立し、長期的な競争優位を維持していきます。

光技術による人類への貢献

光には無限の可能性があります。当社グループは創業以来、社会・環境・人類への貢献のため、光技術の研究開発に情熱を注いでいます。近年、日本政府の政策によりレーザ核融合 (以下、レーザフュージョン)発電が注目を集めていますが、当社は30年以上にわたりその実現に向けた取り組みを続けています。レーザフュージョン発電は、クリーンで安全なエネルギー供給を可能にする革新的技術であり、従来の化石燃料依存から脱却し、地球環境への負荷を大幅に低減することができます。エネルギー問題の解決は、人類の持続可能な未来に直結する課題であり、当社グループは光技術を通じてその解決に貢献します。

 

光技術の可能性を最大限に引き出すため、基礎研究から応用開発まで一貫した取り組みを行っています。大学や研究機関との連携、国際的な共同研究、さらには産業界とのオープンイノベーションを通じて、技術の進化を加速させています。

 

光技術は、人類の生活を豊かにし、地球環境の保全にも寄与する力をもっています。当社グループは、その力を社会に還元し、未来を切り拓く企業であり続けます。今後も、エネルギー問題の解決、医療の高度化、情報通信の進化、製造業の革新といった多様な分野で光技術を活用し、人類の持続可能な発展に貢献していきます。

持続的な成長に向けた環境配慮と人的投資

持続可能な成長を実現するためには、環境への配慮と人的資本への投資が重要です。

 

当社グループは、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー技術の導入を積極的に進めており、浜松市のカーボンニュートラル達成事業者にも認定されています。また、製造プロセスの効率化や廃棄物削減にも取り組み、環境負荷の低減を図っています。さらに、サプライチェーン全体での環境対応を強化し、取引先との協働による持続可能な調達を推進しています。こうした取り組みは、企業価値の向上と社会的責任の遂行を両立させるものです。加えて、当社は国際的な環境基準に対応するため、透明性の高い情報開示を行い、ステークホルダーとの信頼関係を強化しています。現在、環境配慮型の製品開発やカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを着実に進めています。

 

人的投資については、当社グループの成長を支える最大の資産は「人」であるという信念のもと、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を整備しています。専門性の高い人材の育成、ダイバーシティの推進、柔軟な働き方の実現を通じて、イノベーションを生み出す企業文化を醸成します。具体的には、2025年9月期には設計業務における統一研修プログラムの提供やグローバル市場で活躍できる人材を育成するためのグローバル人事部の設置などを実施しました。また、女性や外国籍人材の登用を積極的に進め、組織の多様性を高めることで、新しい視点や発想を取り入れています。このように、日本国内の人材が海外に行くだけではなく、世界各国の人材を日本に迎えることも積極的に行っていきます。

 

環境配慮と人的投資は、当社グループの中長期的な事業戦略において不可欠な要素です。今後も、環境負荷低減と人的投資を軸に、企業価値の最大化を目指していきます。

ガバナンスの強化

当社グループは、コーポレートガバナンスの強化を経営の最重要課題の一つと位置づけ、取締役会の実効性向上に継続的に取り組んでいます。

 

当社の取締役会は、技術・開発分野に強みをもつエンジニア出身者が多く、製品開発や技術戦略に関する高度な知見を有しています。一方で、スキルマトリックスの観点では財務、法務、リスク管理などの領域において補完が必要です。このため、社外取締役・社外監査役として、弁護士や金融機関出身者など多様な専門性をもつ人材を選任し、取締役会全体としてバランスの取れた構成を実現しています。

 

取締役会では、形式的な報告や承認にとどまらず、実質的な議論を重視し、意思決定の質を高めています。社外取締役・社外監査役からの専門的な意見や助言を積極的に取り入れ、必要に応じて戦略や方針の軌道修正を行うことで、経営の健全性と透明性を確保しています。

 

また、別途設置している執行役員会についても、経営課題に対する多角的な議論を行う場として機能させています。

 

さらに、取締役会の実効性評価を定期的に実施し、その結果を踏まえた改善策を講じることで、ガバナンス体制の継続的な強化を図っています。当社グループは、透明性・独立性・多様性を確保し、持続的な企業価値向上に向けた健全なガバナンスを実現していきます。

ステークホルダーへのメッセージ

過去2年、当社グループの業績は一時的な低迷を経験しています。世界経済の不確実性や市場環境の変化、サプライチェーンの混乱など、外部要因が複雑に絡み合う中で、収益は圧迫されました。しかし、当社グループの業界でのポジションや事業の根幹に変わりはありません。当社グループは、光技術を核とした高付加価値ソリューションを提供する企業であり、グローバル市場での競争力を維持しています。業績が低迷した期間においても次の成長に向けた基盤づくりを着実に進めてきました。

 

当社グループは、今後も技術革新と価値創造を通じて、社会に貢献し続けます。中長期的なビジョンを共有し、持続可能な成長を実現する企業であり続けることをお約束します。これからも、変化を恐れず挑戦を続け、未来を切り拓く企業として、次の成長ステージに向けて確かな歩みを進めてまいりますので、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。