浜松ホトニクスのテラヘルツ波関連技術

テラヘルツ(THz)波とは

THz波とは、光と電波の中間に位置する波長領域の電磁波です。光と電波の両方の性質を兼ね備えることから、近年最も可能性を秘めた光として注目されています。

光には物質を特定する性質があり、電波には物質を透過しやすいという性質があります。光と電波の性質にTHz波ならではの特長を組み合わせることで、さまざまな応用の可能性が広がります。

THz波は、人体への被ばくの可能性がないことから、安全性が高い電磁波です。また、透過性が高いため、所持品検査への応用が期待されています。

THz波は5Gなど既存技術に利用される電磁波と比較して、大容量データの高速伝達に適する広帯域の電磁波です。そのため、次世代通信技術として注目されています。

THz波を利用することで、特定の物質の性質や状態を識別することができます。例えば、薬の状態や不良品の判別といった品質検査へ利用される可能性があります。

浜松ホトニクスの取り組み

THz波は、その扱いにくさから研究が進まず、「THzギャップ」と称される光の未開拓領域でした。

そこで当社は、今後のTHz波領域の拡大および新規市場の開拓をすべく、新たなTHz波関連製品 (受発光)の製造・開発に加え、THz分光、THzイメージング技術による、薬剤・食品・材料分析などへの応用研究に取り組んでいます。

THz波関連製品

近年注目を集めているTHz波長領域に感度を持つセンサです。THz波を電子に変換するメタサーフェス技術を活用しています。

THz波の偏光が制御可能なフレネルロム波長板です。

THz波発生・検出素子と、全反射プリズムを一体型にした減衰全反射(ATR)分光専用の装置です。

THz波 アプリケーション

THz波を用いた分光分析は、分子間振動・結晶の情報を取得することができる新しい分光手法です。他の波長とは異なる情報が取得可能となるため、従来の分光分析の課題を解決できる可能性があります。

THz波関連研究開発

今後のTHz波利用の拡大を見据え、新たなTHzデバイスの開発や、THz分光やTHzイメージング技術による、薬剤・食品・材料分析などへの応用研究に取り組んでいます。

量子カスケードレーザは中赤外~THz領域(波長:3 μm~300 μm)の高性能半導体レーザです。これまでに、世界初となるサブTHz帯量子カスケードレーザを実現や、mWレベルのTHz出力を達成することにより室温動作検出器を用いたTHzイメージングに成功しています。今後も、世界最高のデバイス特性を追求し続けることで、室温THz量子カスケードレーザを用いたさまざまな分光実験やイメージングの応用への貢献を目指します。

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