フォトンによる光合成評価技術

光デバイスを活用して光合成を評価する技術の開発とその応用に取り組んでいます。この技術は生態系保全、農薬開発、水質浄化、緑化、水産養殖、大気評価への応用が期待されています。
光合成は持続可能な社会の基盤として、私たちの生活と産業に、食糧・バイオマスを供給するとともに、環境浄化、生態系保全に重要な役割を担っています。光合成を研究することで、環境汚染を低減し、海の豊かさ、陸の豊かさを育む社会の実現や、環境負荷が低く循環可能なバイオマスベースの社会の実現に貢献します。

植物フォトン(遅延蛍光)とは?

植物フォトンとは、藻類・植物など“光合成生物”から検出される非常に弱い発光です。光電子増倍管やMPPCなどのフォトン検出器や、増倍機能をもつ高感度カメラにより検出することができます。
植物フォトンを測ることにより、光合成の動きを直接見ることができます。光合成では、クロロフィルは光エネルギーを使って水を分解して電子を取り出します。電子は伝達体分子に蓄えられ、そのほとんどが光合成のエネルギーとして使用されます。蓄えられた電子のごく一部が逆反応して「植物フォトン」に変換されます。植物フォトンは、外部からの光が消えた後に暗所でゆっくりと光り、光電子増倍管を内蔵した高感度カメラで検出できます。

■関連製品

■可視画像、フォトカウンティング画像の比較

可視画像

フォトカウンティング画像

■植物フォトンの計測動画

応用例:植物フォトンで水質汚染の生物影響を迅速に評価

世界中で使用される化学物質は10万種とも言われています。環境中に放出された場合の人や生物に対する有害性(環境リスク)は、化学分析とバイオアッセイにより把握することができます。化学分析は物質量を計測するもので、GC/MSやLC/MSなどの機器が用いられます。バイオアッセイは、生物を用いて物質量と有害性の関係を検査する手法です。魚、ミジンコ、藻類、植物などが用いられます(化学物質審査規制法、農薬取締法)。物質量と有害性の関係は、化学物質の有害性リスクの判断や、安全な化学物質の開発に役立てることができます。

植物フォトンは、水質汚染を評価するためのバイオアッセイに役立つと期待されています。藻類は光合成によるバイオマス生産で生長します。化学物質により藻類の代謝が阻害されると、バイオマス生産が低下し、生長速度が低下します。従来のバイオアッセイでは、細胞数を数えることで生長阻害を評価しています。当社は、光合成を反映する植物フォトンの発光阻害を評価することにより、短時間で生長阻害を推定する技術を開発しました。この技術は藻類発光法と呼ばれています。

フォトンによる光合成評価技術の活用が期待される生物の例

水産養殖の餌料 キートセロス

水産資源の持続可能な利用のために、水産養殖業の発展が期待されています。藻類は水産用の餌(えさ)のひとつとして大量培養されています。キートセロスは貝類や甲殻類の餌として使用される藻類のひとつです。

水辺生態系を守る ウキクサ

水辺に育つ水生植物とその周辺の生態系は、栄養塩の吸収や分解による水質浄化や、水生動物の繁殖の場所として、水辺の生態系を守る役割を果たしています。ウキクサは水田などで育つ身近な水生植物です。

海の豊かさを守る 造礁サンゴ

造礁サンゴは動物ですが、藻類と共生して光合成をしています。サンゴ礁は海洋の生物多様性に重要な場所ですが、現在、世界のサンゴ礁の20 %が壊滅、50 %が危機に瀕していると言われています。その原因は、気候変動や海洋汚染と考えられています。

大気汚染の指標 ウメノキゴケ

藻類と菌類が共生した地衣類の一種で、樹木の表面で育ちます。乾燥すると光合成を止め、雨水等で光合成を始めます。ウメノキゴケは排気ガス中の二酸化硫黄に弱く、大気汚染の指標生物とされています。

タンパク質の生産 スピルリナ

穀物や畜産・水産物から供給されているタンパク質は、人口増加や気候変動により、供給不足が心配されています。新たな生産源として藻類が注目されています。スピルリナはタンパク質を多く含む藻類のひとつです。

参考文献

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