特徴/有用性/安全性

PET検査とは

PET検査とはどんな検査ですか?

PETとはPositron Emission Tomographyの略語です。日本語では「陽電子断層撮影法」を指します。心臓や脳などの働きを断層画像としてとらえ、病気の原因や病状を診断する検査法です。PET検査では、検査対象に合わせたくすりを体内に投与します。このくすりが体内に集まっている様子をPET装置で撮影し、細胞の「活動の様子」を画像化します。

PET装置

PET装置 DiscoveryMI

なぜPET検査でがんがわかるのですか?

がん細胞は正常の細胞よりも分裂が盛んに行われるため、エネルギー源としてブドウ糖をたくさん必要とします。そこで、ブドウ糖に似た性質の物質に、微量の放射線を放出する放射性同位元素を標識したくすり(FDG)を静脈から投与すると、正常細胞よりもがん細胞にたくさん集まります。PET装置でこのFDGの集まる様子を撮影し、がんの位置や大きさを画像で表します。

 

右図:がん細胞は正常な細胞よりも多くの糖を必要とするため、たくさんのFDGが集まります。

体内のFDGイメージ

PET検査でがんはどのように見えますか?

FDGの集まり具合は、白黒画像では濃淡で、カラー画像では色の違いとして表示されます。活発に活動をする脳の神経細胞や心筋などにはFDGの生理的な集積が認められます。FDGは尿として排出されるため、腎臓や尿管、膀胱にも集積します。また、炎症細胞や良性腫瘍にも集積します。FDGが集まっている場所すべてが、がんではありません。

PET検査の特徴

一度に広い範囲を検査します

通常頭部から骨盤までの広い範囲を一度に撮影します。原発巣の探索や、転移の有無の診断に有用です。通常の検診では検査対象とならない思いがけない場所に、がんが発見されることもあります。

PET検査画像例

画像提供:浜松PET診断センター

がんの早期発見に役立ちます

PET検査では細胞の「活動の様子」がわかります。従来のX線CTやMRI検査で得られる「かたち」の情報と合わせることで、より細かな状態を明らかにすることができ、早期がんの診断にも有効です。

身体に負担の少ない検査です

注射以外に痛みを感じる検査ではありません。検査は着衣のまま行います。強い苦痛や不快感がありません。

PET検査の有用性

PET検査で全てのがんが発見されるわけではありません

PET検査はがんの診断や早期発見に役立ちますが、すべてのがんに有効なわけではありません。腎臓、膀胱には正常な方でもFDGが集まるため、これらの部位や膀胱に近接する前立腺のがんは発見困難なことがあります。また、早期の胃がん、子宮頸がんなどは従来の検診が有効です。炎症のある部位、良性腫瘍にもFDGは集まります。

 

健診目的の場合は、PET検査だけでなく、MRI、CT、内視鏡など他の検査を組み合わせて受診いただくことが大事です。また、他の検診同様、偽陽性(がんではないが、がんの疑いがあると判定すること)、偽陰性(がんであるが、がんの疑い無しと判定すること)があります。なお、FDGの集積は血糖値に影響されるため、糖尿病の方では画像が見にくくなることがあります。

■がん検出におけるFDG-PETの有用性

有用性が高いとされるがん 有用性が高くないとされるがん

・頭頸部がん
・肺がん
・乳がん
・膵臓がん
・大腸がん
・卵巣がん
・子宮体がん
・悪性リンパ腫

 

・食道がん
・肝臓がん
・胃がん
・前立腺がん
・子宮頸がん
・腎がん
・膀胱がん

*PETがん検診では他の検査を併用することが推奨されています。

出典:FDG-PETがん検診ガイドライン(第3版)日本核医学会・日本核医学会PET核医学分科会 編

効果があるとされているがん検診は?

下表に示すいくつかの検診が、科学的な方法でがん死亡率の減少が認められ、がん検診として効果があるとされています。X線CTによる肺がん検診や、PSAによる前立腺がん検診は、本報告の時点では評価保留とされています。PETがん検診の検診としての有効性も、まだ確認がされていません。

■国が推奨するがん検診の種類

種類     検査項目     対象年齢     受診間隔    
胃がん 問診+胃部X線検査又は胃内視鏡検査のいずれか 50歳以上 2年に1回
子宮頸がん 問診+視診+子宮頸部の細胞診及び内診 20歳以上 2年に1回
問診+視診+子宮頸部の細胞診及び内診 30歳以上 2年に1回
問診+視診及びHPV検査単独法 30歳以上の検査項目については自治体がいずれかを選択し実施 5年に1回
肺がん 質問(問診)、胸部X線検査 40歳以上 年1回
乳がん 質問(問診)及び乳房X線検査(マンモグラフィ) 40歳以上 2年に1回
大腸がん 問診及び便潜血検査 40歳以上 年1回

出典:厚生労働省「がん検診」

PET検査の安全性について

これまでFDGによる重篤な副作用の報告はありません。またFDG-PET検査は、検査1回で約2.2 mSv (ミリシーベルト)*1の放射線被ばくがあるとされています。胃のX線検査の半分程度*2であり、身体に影響を及ぼす被ばく量では無いとされています。FDGは、尿と一緒に速やかに身体の外に排出されます。FDGの出す放射線量も約110分ごとに、半分、さらに半分と少なくなっていきます。ただし、妊婦、または妊娠の疑いのある方は受診いただくことができません。

 

*1:Sv (シーベルト):放射線の人体に対する影響(危険度)を表す単位です。

*2:日本核医学会・社団法人 日本アイソトープ協会 / PET検査Q&Aより

放射線被ばくの早見図