創薬スクリーニング

創薬スクリーニングとは

スクリーニングとは、篩(ふるい)にかけることを意味し、新薬開発における創薬スクリーニングは、多数の化合物から新薬の候補となる化合物を選別・発見する研究手法です。特に、新薬開発の初期段階において、数万から数十万もの膨大な化合物資源からスクリーニングする手法はハイスループットスクリーニング(High Throughput Screening:HTS)と呼ばれ、1990年代中頃より発展しました。HTSでは、高速化や高効率化、自動化、高い安定性や精度が求められます。※ 一方、イメージングによって細胞の表現型などより複雑なデータを取得するマルチパラメトリック解析手法はハイコンテントスクリーニング(High Content Screening:HCS)と呼ばれます。

創薬スクリーニングでは、遺伝子発現やタンパク質活性、分子間相互作用、細胞シグナル伝達、細胞毒性、細胞表現型などの評価が行われ、その評価において蛍光や発光、吸光、蛍光偏光、質量分析、細胞イメージングといった様々な光技術が用いられます。

浜松ホトニクスは、蛍光・発光イメージング技術を応用したシステムや、蛍光や発光、偏光などを高感度に検出する検出器やカメラを提供しています。

出典:実験医学別冊『創薬研究のためのスクリーニング学実践テキスト』スクリーニング学研究会/編 羊土社 2022年6月30日発行

HTS_HCS:イメージ

創薬スクリーニングを支える浜松ホトニクスのシステム

ライトシートマイクロプレートサイトメータ

ライトシートマイクロプレートサイトメータは、蛍光染色した2次元および3次元の細胞サンプルを蛍光イメージング・解析するシステムです。1536、384、96 ウエルマイクロプレートに対応し、ホールウエル3 次元蛍光画像を高速に取得します。画像取得と同時に、個々の細胞や個々のオルガノイドの蛍光強度および3 次元の形態情報を解析し、結果を表示します。特許取得済みの独自技術「Zyncscan」により、圧倒的なスループットかつ簡便で、より信頼性の高い細胞アッセイを実現しました。創薬スクリーニングや毒性・安全性評価、トランスレーショナル研究の推進に貢献します。

がん細胞(U-87 MG)スフェロイド

カイネティクスプレートイメージャ

カイネティクスプレートイメージャは、マイクロプレートの全ウエル一括分注・一括測定が可能なプレートイメージャです。マイクロプレートの各ウエル内にて蛍光色素 / 発光色素などで標識された生細胞に、異なる種類や濃度の新薬候補化合物を分注し、リアルタイムに蛍光 / 発光の経時変化を測定します。

1ウエルずつ順番に測定するプレートリーダやプレートイメージャの場合、最初のウエルを測定している間に後のウエルの反応がすでに終わってしまっているというケースがありますが、カイネティクスプレートイメージャは全ウエル同時測定のため、ウエル間の測定時間差が生じないカイネティクスアッセイが可能です。

FDSS-GX カイネティクスプレートイメージャ

創薬スクリーニングシステムを支える浜松ホトニクスのコンポーネント

浜松ホトニクスは、創薬スクリーニングの現場で使用されるプレートリーダやプレートイメージャ、ハイコンテントイメージングシステム、フローサイトメータなどで使用される各種高感度検出器をラインアップしています。高感度にポイント測定が可能な光電子増倍管に加え、高感度に二次元画像を取得できるカメラをご提供可能です。

プレートリーダ

プレートリーダとは、マイクロプレートに分注したサンプルの、吸光・発光・蛍光などを測定できる装置です。タンパク質の定量や細胞増殖の指標とする吸光度の測定・発光反応・蛍光を利用した濃度測定などに使用され、創薬スクリーニングや遺伝子研究には欠かせない装置です。単一の測定のみ行うシングルモードリーダと、複数の測定に対応したマルチモードリーダがあります。

関連製品

96ウェルマイクロプレートのウェル間隔に合わせて、受光エリアが9 mmピッチになるように設計された4 x 4 チャンネルのMTPリーダ用光電子増倍管モジュールです。

イメージングプレートサイトメータ

イメージングプレートサイトメータとは、一般的にマイクロウエルプレートを自動で撮影できる自動顕微鏡のことを指します。明視野、蛍光などの測定手法でウェル単位、細胞単位の画像を撮影することができます。プレートリーダのようなポイント測定ではなく、カメラを用いた2次元の測定のため、ウエル内の細胞の数や形態などの詳細な情報が取得できたり、ホールウエル、ホールプレートの画像を取得できるといったメリットがあります。

関連製品

科学計測用CMOSセンサを搭載したボード型CMOSカメラです。プレートイメージャなどの装置組み込みに適しており、装置の小型化に貢献します。

ハイコンテントイメージングシステム

スフェロイド

ハイコンテントイメージングシステムとは、ウエル内の細胞などを視野単位・細胞単位・細胞内の特定領域単位といったレベルで、マルチなパラメータを取得できるシステムのことです。近年では一般的に共焦点顕微鏡を応用したシステムのことをハイコンテントイメージングシステムといい、このシステムを使用して細胞のスクリーニングを行うシステムはハイコンテントスクリーニング(High Content Screening:HCS)システムといいます。

共焦点光学系を使用しているため、一般的なプレートイメージャと比較して分解能が高く、細胞の形態や細胞内の分子の局在などを高い分解能で観察できます。また、焦点を変えながら撮影することでスフェロイドなどの3次元のサンプルの観察が可能であるというメリットもあります。

関連製品

可視から近赤外まで幅広い波長における蛍光観察に最適なsCMOSカメラです。高解像度、高速読み出し、低ノイズを同時に実現し、鮮明な画像を取得します。

フローサイトメータ

フローサイトメータの模式図

フローサイトメータとは、フローサイトメトリを行うための装置の総称です。フローサイトメトリとは、散乱光や蛍光の測定を通じて、さまざまな細胞情報を取得する技術です。フローサイトメトリの測定の流れは、まず蛍光物質で標識された細胞を、溶液と一緒に細い管(フローセル)の中に流します。この細胞にレーザ光を照射し、蛍光物質から出る蛍光や、細胞により散乱される光を検出器で観測します。この一連の流れにより、マイクロプレート等で不均一に培養された細胞の種類を選別したり、細胞数を計数したりすることができます。

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