蛍光イメージング 蛍光イメージング

蛍光イメージング

蛍光イメージングとは

蛍光イメージング(Fluorescence Imaging)とは、細胞や分子などを蛍光色素や蛍光タンパク質、NVセンタなどを用いて蛍光標識することで可視化するイメージング手法のことです。一般的に細胞や分子などは無色透明なため、そのままでは観察することができません。細胞などを可視化するためには蛍光標識以外にもさまざまな染色法がありますが、細胞にダメージを与えてしまうものも多くあります。蛍光イメージングに使用される蛍光色素や蛍光タンパク質、NVセンタは細胞を生きたまま標識することができるため、生体のライブセルイメージングを可能にし、細胞の構造や機能、分子の相互作用などさまざまな情報を取得することができます。このように蛍光イメージングは生物学の発展において重要なツールとなっています。

レーザー顕微鏡

蛍光イメージングは、下村脩 教授、Martin Chalfie 教授、Roger Y. Tsien 教授の3名が2008年に受賞したノーベル化学賞「緑色蛍光タンパク質GFPの発見と開発」によって大きな発展を遂げることとなりました。緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein : 以降GFP)は、オワンクラゲ(発光生物)から単離されるタンパク質の一種です。下村教授はオワンクラゲに紫外線を当てると緑色に光ることを発見し、世界で初めてオワンクラゲからGFPの単離に成功しました。その後、Martin Chalfie教授は蛍光発光メカニズムの理解に貢献し、遺伝子工学手法を用いてGFPを生体細胞内で発現させることに成功しました。また、Roger Y. Tsien教授はGFPの発色団形成の分子機構を解明し、発色団の構造をチューニングすることで緑色以外にも様々な色に光る人工蛍光タンパクの創成に成功しました。これにより、異なる色の蛍光タンパク質を生体内に発現させ、異なるタンパク質同士の相互作用の解析など複数の生命現象の同時追跡を可能にしました。

緑色蛍光タンパク質の構造

図1:緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protain)の構造

蛍光染色された細胞の撮像例

図2:蛍光染色された細胞の撮像例

蛍光顕微鏡とは

蛍光顕微鏡とは、細胞の蛍光イメージングを行う際に使用される顕微鏡です。蛍光色素や蛍光タンパク質などで標識されたサンプルに励起光を照射し、そこから出る蛍光を対物レンズで集光しカメラなどで撮影します。

蛍光顕微鏡は主に光源、フィルタ、ダイクロイックミラー、対物レンズなどの光学系で構成されています。図3は一般的に使用される落射蛍光顕微鏡の模式図です。落射蛍光顕微鏡では、光源から放射された光(励起光)は励起フィルタにより不要な波長がカットされます。その後、ダイクロイックミラーによって反射された励起光は、対物レンズを通ってサンプルに照射されます。励起光が照射されたサンプルは蛍光を発し、その蛍光は対物レンズ、ダイクロイックミラー、蛍光フィルタ(吸収フィルタ)を通過した後、接眼レンズやカメラ等の検出器に導かれます。

 

近年では、共焦点顕微鏡、超解像顕微鏡、ライトシート顕微鏡、多光子顕微鏡などさまざまな蛍光イメージング手法が開発されています。これらの蛍光イメージング手法により、従来よりも高分解能な観察が可能になる他、より高速な観察、より深部の観察なども可能となっています。

図3:落射蛍光顕微鏡の模式図

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焦点面以外で発生した蛍光を取り除き、ボケの少ない高精細な画像を取得できるイメージング手法です。

 

従来の光学顕微鏡の回折限界を超えた分解能で観察を行うためのイメージング手法です。

 

サンプルをシート光で励起することで、光毒性を抑えながら高速に画像を取得することができるイメージング手法です。

 

多光子励起現象を応用することで、深部の画像取得を可能にしたイメージング手法です。

 

サンプルの蛍光寿命の空間的分布をマッピングし画像を取得するイメージング手法です。

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蛍光イメージング関連製品

検出器

 

光電子増倍管モジュールは、光を電気信号に変換する光電子増倍管に動作用の高圧電源回路、各ダイノードに電圧を配分する分割回路が一体化されているものが基本となっています。その基本構成に、信号処理回路、インターフェース、冷却など機能を付加した様々なモジュールを取り揃えています。

 

MPPCモジュールは、MPPCを内蔵した極微弱光検出が可能なフォトンカウンティング・モジュールです。MPPCの性能を最大限に引き出すことで、優れたフォトンカウンティング特性を実現しています。

 

qCMOSカメラとは、極めて優れた低ノイズ性能と、高速読み出しを両立した超高感度のカメラです。世界で初めて、光子の数を正確に計測できる光子数識別(Photon number resolving)イメージングを可能にしました。

 

可視から近赤外まで幅広い波長における蛍光観察に最適なsCMOSカメラです。超解像顕微鏡法やライトシート顕微鏡法などの最先端研究においても優れた性能を発揮します。

 

電子管(真空管)に半導体素子を内蔵した新しい光電子増倍管で、光電面からの光電子を直接半導体に打込むことで光電子を増倍します。効率が良く、ノイズの少ない増倍が可能です。

 

「ゲート動作(シャッタ動作)」により高速現象の極めて短時間の『瞬間像』を捕らえることができます。ゲート動作とは、カメラのシャッタと同じ機能で、ゲートI.I.ユニットはこの動作を電気的に行います。最小 3億分の1秒(3 ns)のゲートが可能です。

光源 / レーザ

 

レーザ励起波長可変光源(LDTLS™)は、レーザ励起プラズマ光源(LDLS™)と分光器を一体とした、コンパクトな波長可変光源です。

 

SuperK CHROMATUNE は、400 nm~1000 nm の範囲で波長切り替えが可能なスーパーコンティニューム白色光源です。

その他関連機器

 

蛍光染色した2 次元および3 次元の細胞サンプルを蛍光イメージング・解析するシステムです。1536、384、96ウエルマイクロプレートに対応し、ホールウエル3 次元蛍光画像を高速に取得します。

 

ガラススライドを高速でスキャンし、高解像度なデジタルデータに変換するバーチャルスライドスキャナです。スキャンしたデータは、専用の画像閲覧ソフトウエアを使い、顕微鏡を操作する感覚で観察することができます。

 

Ca2+を中心とした各種イオンや蛋白質による細胞内シグナル伝達を各種蛍光・発光プローブを用いて可視化し、化合物による薬効薬理評価を実施するハイスループットスクリーニング装置です。

 

お使いの倒立顕微鏡に取り付けるだけで共焦点蛍光イメージングが可能になるユニットです。

 

光の位相を自由に変調する反射型の空間光位相変調器です。

 

MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems)技術を応用した電磁駆動式のミラーです。低消費電力とともに、広い光学的振れ角、高いミラー反射率を実現しています。

 

入射光を2波長に分光し、カメラに結像させる顕微鏡用光学系です。

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