FLIM(蛍光寿命顕微鏡) FLIM(蛍光寿命顕微鏡)

FLIM (蛍光寿命顕微鏡)

FLIM(蛍光寿命顕微鏡)とは

FLIMとはFluorescence Lifetime Imaging Microscopyの略で、蛍光寿命顕微鏡と呼ばれます。蛍光寿命顕微鏡は、蛍光色素固有の蛍光寿命特性を活かしたイメージング技術で、蛍光寿命の長さに応じてマッピングをすることで画像化する顕微鏡手法です。

蛍光寿命とは、蛍光色素などの分子が光励起されてから光子を放出して基底状態に戻るまでの時間のことを指します。最も単純な系では、蛍光強度が励起直後より1/eに減少するまでの時間と定義されます。(図1)

蛍光寿命の定義

図1:蛍光寿命の定義

FLIMの特長

蛍光輝度に依存しない測定手法

通常の蛍光イメージングでは、蛍光試薬の濃度や細胞の厚み等の要因によって蛍光輝度が変わってしまいます。

しかし、蛍光寿命顕微鏡では、輝度ではなく寿命を測定しているため、蛍光試薬の濃度や細胞の厚み等の要因による輝度の変化に影響されません。

光学系・測定準備が簡易

通常の蛍光イメージングでは、細胞内の分子や小器官等を別々に観察したい場合、それぞれに適した試薬を使用し、複数波長を用いて撮影する必要があります。

しかし、蛍光寿命顕微鏡では、それぞれの分子や小器官の違いを蛍光寿命の長さから区別できるため、励起光やフィルタなどを変える必要がなく、ユーザの測定準備を簡易化できる場合があります。

FLIMの撮像原理

FLIMでは、一般的に時間相関単一光子計数法(TCSPC法:Time Correlated Single Photon Counting)という蛍光寿命の測定法と共焦点顕微鏡等のレーザ顕微鏡の光学系を組み合わせて撮像が行われます。

撮像の流れは、まず観察対象をパルス光で励起しながらそれぞれのスキャンポイントにおける蛍光寿命をTCSPC法で取得します。この作業を複数のスキャンポイントで行い、それぞれを1つの画素として各画素が蛍光寿命のデータを持った2次元の画像を作成します。画像化の際、各ポイントの蛍光寿命の長さに応じて色分けをすることで、蛍光寿命のマッピングデータを可視化することができます。

蛍光寿命顕微鏡の原理

図2:蛍光寿命顕微鏡の原理

撮像例

ご提供:Becker & Hickl GmbH

ミバエの深部組織

200スライスから構成される3D画像

200スライスから構成される3D画像

フェイザープロットマッピング

フェイザープロットマッピング(FLIM-phasor)

搭載製品:R10467U-40

各ピクセルの光子数および蛍光寿命の情報を含んだ3D画像と、蛍光寿命特性のマッピングデータを取得した撮像例です。

慢性アルコール中毒マウスの肝臓

慢性アルコール中毒マウスの肝臓

オレンジ色の部分に肝組織の損傷を確認

搭載製品:R10467U-40

他の部位と比較して損傷した肝組織の蛍光寿命が短いことを利用した撮像例です。

ピックアップ製品 : HPD(ハイブリッド・フォトディテクタ)

HPD(ハイブリッド・フォトディテクタ)は、電子管(真空管)に半導体素子を内蔵した新しい光電子増倍管で、光電面からの光電子を直接半導体に打込むことで光電子を増倍します。

蛍光寿命の計測においては、非常に短い時間で起きる蛍光強度の減衰を捉えるために、検出器には高感度特性・高時間分解能特性が必要となります。HPDは独自の内部構成によって、蛍光寿命計測に必要とされる特性を高いレベルで併せ持ちます。HPDをFLIMに用いることで、各スキャンポイントにおける蛍光寿命の高感度・高精度測定に貢献し、より正確な蛍光寿命イメージングの取得を実現します。

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