ステルスダイシング技術 ステルスダイシング技術

車載用パワーデバイスダイシング

車載用半導体では、高い信頼性と高性能が求められます。また、最近ではSiに比べてバンドギャップが広いSiCやGaNの採用が広がっています。しかし、SiCの特性として硬度が高いことから、ダイシングの⼯程において加工速度が遅い、チッピングが発⽣するなどの課題があります。
ステルスダイシング技術は、「高速切断」「チッピングレス」「完全ドライプロセス」「切削ロスゼロ」などの利点を有する、レーザを用いた全く新しい概念のレーザダイシング技術です。ステルスダイシング技術によりSiCのような高硬度材料、GaNのような高脆性材料の高品質・高速ダイシングが可能となります。
なお、Siウェーハのダイシングにおいては既に数多くの採用実績がございます。

ステルスダイシングの原理

ステルスダイシング技術は、対象材料に対して透過性を有する波長のレーザ光をウェーハ内部に集光し、分割するための起点(改質層: 以下「SD層」と称する)を形成した後、ウェーハに外部応力を加えてチップ状に小片化するダイシング技術です 。プロセスは、主にウェーハ内部に分割するためのSD層を形成する「レーザ照射工程」と、ウェーハをチップ状に小片化する「エキスパンド工程」の2つから構成されています。

プロセス1: レーザ照射工程

レーザ光をウェーハ内部に集光させて、分割するためのSD層を形成します。内部に形成されたSD層からウェーハの表裏面に向かってき裂も形成されており、レーザ光をスキャンすることでき裂を切断予定ラインに沿って繋げます。厚いウェーハを切断する場合には、ウェーハの厚み方向に複数のSD層を形成してき裂を繋ぎ合わせます。

●レーザ照射原理

 

●Siウェーハ内部のSD層の写真

プロセス2: エキスパンド工程

SD層を形成したウェーハに対して、テープエキスパンドなどでテープを外周方向に均一に引っ張ることで外部応力を加えます。それにより、ウェーハ内部のき裂に引張応力が加わり、き裂が表裏面に伸展してチップ状に小片化されます。 分割はき裂の伸展によって行われるため、デバイスへのストレスがありません。また、基本的に切削ロスがないため、チップ収率の向上に繋がります。

エキスパンド(き裂伸展)原理

1.テープを外周方向に拡張

2.引張応力によりウェーハ内部のき裂が伸展

3.き裂が表面まで到達して小片化

●エキスパンド前

●エキスパンド後

断面図(拡大)

ステルスダイシング技術によって切り出されたメンブレン構造体を有するMEMSデバイスと、保護膜や金属膜などを有するデバイスの写真を示します。チップの表裏面にチッピングのないシャープなダイシング品質が得られています。また、チップ中央部のメンブレン構造体に破損やゴミなどの付着がない良好なダイシング結果が得られています。

●メンブレン構造体を有するMEMSデバイス

●保護膜や金属膜などを有するデバイス

従来技術との違い

ステルスダイシング技術はその画期的な原理より、ブレードダイシングやアブレーションダイシングが抱える課題を解決します。

加工例

●SiC

厚さ: 350 μm

スキャン速度: 350 mm/s、スキャン本数: 5スキャン

●GaN

厚さ: 100 μm

スキャン速度: 600 mm/s、スキャン本数: 1スキャン

●Si(薄: 100 μm)

厚さ: 100 μm

スキャン速度: 300 mm/s、スキャン本数: 1スキャン

●Si(厚: 300 μm)

厚さ: 300 μm

スキャン速度: 1000 mm/s、スキャン本数: 1スキャン(2分岐加工)

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