持続可能な地球環境の実現のために光技術でできること

浜松ホトニクスは、製品を提供するだけでなく、光技術を通じて持続可能な地球環境の実現に貢献することを目指しています。

環境、社会および経済との調和が最も重要な課題と認識し、地球と人とすべての生命が最適なバランスで共存する未来に向け、光技術でさまざまな取り組みを行っています。

当社の環境への取り組みの詳細については、サステナビリティ - Environment (環境)をご覧ください。

具体的な事例紹介

プラスチック資源リサイクルへの貢献

自動車や家電製品、ペットボトルなどの生活日用品に使われるプラスチックは私たちの生活を快適にする一方で、プラスチックゴミによる環境問題が深刻になっています。

プラスチックには、ペットボトルのような単一素材のものだけでなく、混合素材や難燃剤などの添加物を含むものがあります。また、リサイクルの現場では、回収されたプラスチックから金属などの異物を取り除く作業が必要となります。

さまざまな種類のプラスチックの選別や異物の識別に、X線・近赤外・中赤外・テラヘルツによる光センシング技術が活用されています。

デュアルエナジーX線イメージング

X線画像により材質選別を行う方法です。

2つのX線エネルギー (高/低)を用いて取得した画像を演算処理することで、異物として混入する可能性のあるメタル片、臭素、グラスファイバを含んだ複合プラスチックなどの高度な検知が可能になります。

近赤外分光

プラスチック選別において最も一般的な方法です。近赤外光の吸収率の違いにより、主に1.9 μm付近のスペクトルからプラスチックの種類を選別します。

中赤外・テラヘルツ分光

ASR (Automobile Shredder Residue)などの黒色プラスチックは近赤外光を吸収してしまいます。そのため、より長い波長の中赤外光 (3 µm ~ 5 μm)や、THz光 (30 µm~3 mm)を応用した分光分析が使用されます。

関連製品

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カタログ

動画

  • マイクロプラスチック計測

素材提供:(国研)産業技術総合研究所

持続可能な発展に貢献するクリーンエネルギーの実現に向けて

現代社会において、解決しなければならない課題のひとつにエネルギー問題があります。現在、日本の一次エネルギーは80 %以上が化石燃料から得られていますが、地球上にあるエネルギー資源には限りがあります。

そのような状況のなか、海水中に無尽蔵にある水素の同位元素からエネルギーを取りだすことができるレーザフュージョンが、世界的なエネルギー問題解決の切り札として期待されています。​

レーザフュージョンを用いた発電は、二酸化炭素や窒素化合物を排出しないため、持続可能な発展を可能にするクリーンなエネルギーとして、地球温暖化などの環境問題の解決への貢献も期待されています。​

 

当社のレーザフュージョンに関する取り組みの詳細はレーザフュージョンをご覧ください。

 

 

レーザ核融合

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光合成によるバイオ資源生産への貢献

地球上のバイオマス (生物量)の80 %以上は、光合成による二酸化炭素吸収に由来すると言われています。カーボンニュートラル実現に向けてバイオ資源を利用する技術が研究されており、光合成プロセスの評価に向けたさまざまな光技術の応用が期待されています。

光合成によるバイオ資源生産・持続可能社会の実現に貢献する光技術

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蛍光量子収率測定 - 光合成の光エネルギー利用効率をフォトンで測定

光合成ではクロロフィルなどの光合成色素が光を吸収して化学反応が行われます。色素に吸収された光エネルギーに対する化学エネルギーの割合が光合成における光エネルギーの利用効率となります。

吸収された光と蛍光のフォトン数を測定することで、吸収された光エネルギーの利用効率の変化量を求めることができるため、光合成のメカニズム解明や人工光合成の高効率化などの研究開発への応用が期待されます。
 

吸収された光と蛍光のフォトン数測定には、当社のPL量子測定装置が用いられます。

光エネルギーが化学エネルギーに変換される過程

関連製品

遅延蛍光測定 - 光合成の化学エネルギー利用能力をフォトンで測定

光合成においてクロロフィルに吸収された光エネルギーは化学エネルギーに変換され、CO2固定などのバイオ資源生産に必要な生化学反応に利用されます。この化学エネルギーの一部が逆反応を起こすとクロロフィルからフォトンが発生します。

このフォトンを計測し、細胞量計測と組み合わせることで、光合成活性の評価が可能となります。
 

フォトンの計測には光電子増倍管が、細胞量計測にはミニ分光器がそれぞれ用いられます。

化学エネルギーが光エネルギーに変換される過程

関連製品

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研究・開発

動画

  • 遅延蛍光による藻類毒性評価

農業のスマート化への貢献

現代の農業は、働き手の高齢化による労働力や後継者の不足や異常気象による収穫不良、過剰施肥による環境汚染など、さまざまな課題を抱えています。
これらの課題を解決するために、ICT・AI技術と組み合わせ、得られたデータにより農業の効率化を目指すスマート農業化が期待されています。
「スマート農業」の発展に向けて、植物情報のセンシングが重要です。植物の情報、例えば、体内の水分や成分の量、生育リズムなどを光技術によって捉え、植物が『今』どのような状態にあり、何を求めているかを推測することで、適切な施肥や資材の投入、収穫物の価値向上と同時に、環境へ配慮した農業の実現への貢献を目指しています。

詳細は農業用光センシングをご覧ください。

関連製品

大気分析で環境問題解決に貢献

私たちの暮らす地球は、さまざまな気体の集合体である大気に覆われています。地表状態に影響を及ぼす大気ガスの監視・検知や、大気状態そのものの観測による天候予測などに加え、工場・観測施設をはじめとするさまざまな場所やシーンで光技術が活躍しています。

温室効果ガスと地球温暖化

地球温暖化は世界規模の問題として注目を集めており、温室効果ガスの増加はその原因の一つであると言われています。代表的な温室効果ガスとして二酸化炭素が知られていますが、メタンや亜酸化窒素など、私たちが暮らしている中で排出しているガスでは、二酸化炭素以上に温室効果が高いと言われているガスもあります。そのような温室効果ガスを光技術で計測する方法は世界中で広く用いられており、当社の製品もさまざまなシーンで活用されています。

温室効果ガス 地球温暖化係数 主な排出源
二酸化炭素 CO2 1 化石燃料の燃焼など
メタン CH4 25 稲作、家畜、廃棄物の埋立てなど
亜酸化窒素 N2O 298 燃料の燃焼、工業プロセスなど
ハイドロフルオロカーボン類 HFCs 1,430など スプレー、エアコンの冷媒など
六フッ化硫黄 SF6 22,800 電気の絶縁体など

* 地球温暖化係数とは、二酸化炭素の何倍の温室効果があるかを示す指標です。
* 温室効果ガス排出量は、この係数を用いて二酸化炭素の排出量に換算して表現されます。

ガス分析に関する詳細はアプリケーション - ガス分析をご覧ください。

土壌分析で土壌汚染対策に貢献

人々の健康を守るためには、VOC、重金属、農薬などのさまざまな汚染物質を測定し、土壌の状況を把握することが必要です。土壌の構造や物理的機能を理解することで、適切な土壌管理や改良が可能となり、土壌の保護につながります。

質量分析は、分析対象物をイオン化して測定する非常に精度の高い分析手法として知られており、土壌の分析にも応用されています。当社のイオン検出デバイスは、その質量分析装置の中核として活躍しています。

POPs*分析

* POPs: Persistent Organic Pollutants

重金属分析

PFASの土壌分析

PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は、耐水性や耐油性に優れた特性をもつ化学物質で、さまざまな産業製品に広く使用されています。例えば、不粘鍋、撥水加工された衣類、食品包装、消火泡などに含まれています。しかし、これらの化学物質は環境中で非常に安定しており、分解されにくい性質があります。そのため「永遠の化学物質」とも呼ばれています。

PFASの有害性

・人体への影響

PFASは長期間にわたって環境中に残留し、食物連鎖を通じて人体に蓄積することがあります。研究によれば、PFASの高濃度曝露は以下のような健康リスクを引き起こす可能性があります。

  • 発がん性
  • 免疫系の抑制
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 肝臓や腎臓の機能障害

・環境への影響

PFASは自然環境においても深刻な問題を引き起こします。土壌や水質の汚染は生態系に悪影響を及ぼし、生物多様性の減少や水質の劣化を引き起こします。特に、水田や湿地などの農業地域における汚染は、農作物への影響も懸念されます。

PFASの土壌分析による社会貢献

・汚染の特定と拡散防止

土壌分析を行うことで、PFASの汚染源を特定し、汚染の拡散を防ぐ対策を講じることが可能になります。これにより、地域の住民や農作物への影響を最小限に抑えることができます。

・リスク評価と健康保護

土壌中のPFAS濃度を把握することで、リスク評価が行えます。特に、農作物や飲料水に対する影響を予測し、必要な対策を講じることが重要です。これにより、住民の健康を守ることができます。

浜松ホトニクスの質量分析

質量分析に関する詳細はアプリケーション - 質量分析をご覧ください。

生活水の水質評価への貢献

安全な生活水を支える水質評価は川、湖、海の環境保全にもつながります。水質評価にはさまざまな測定項目があり、当社の光源・光センサは窒素化合物、炭素量 (TOC)、酸素量 (COD)、クロロフィルaの測定などに使用されています。

TOC測定

TOC (Total Organic Carbon)とは、全有機体炭素量のことで、水質汚濁の指標の一つとされています。水中に存在する有機物中の炭素量と定義されています。

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COD測定

COD (Chemical Oxygen Demand)とは、化学的酸素要求量のことで、水質汚濁の指標の一つとされています

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クロロフィルa測定

クロロフィルaはさまざまな種類の藻類・植物に共通する葉緑素です。水域で検出することで藻類の異常繁殖と水質汚濁の発生を監視することができます。

関連製品

硝酸・亜硝酸測定

窒素化合物である硝酸性窒素と亜硝酸性窒素は湖沼や海洋に大量に流入することで、富栄養化問題や低酸素水塊、硫化水素の発生などを引き起こしています。また、飲料水に混入して人体に入ると、特に乳幼児に影響を及ぼします。

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アプリケーション

放射線量・種類を正確に計測

地球上では、さまざまな物質から放射線が発生しています。

原子力発電所などの人工的な施設だけでなく、あらゆる食物や生物からも微量の放射線が発生しています。これらの正確な測定による実態の把握に、浜松ホトニクスの光技術が貢献しています。

手法比較

測定目的に応じて適した放射線の計測方法は異なりますが、放射線の核種を分別することが可能な高精度計測手法として、シンチレーション方式の需要が高まっています。

浜松ホトニクスでは、シンチレーション方式に最適な小型・軽量かつ高感度な光検出器の開発・製造を行っています。

シンチレーション方式

半導体方式

電離箱方式

GM管方式

項目 シンチレーション方式 半導体方式 GM管方式
特長 核種弁別可能 小型軽量・低コスト シンプルな構造
主な用途 モニタリングポスト
モニタリングポスト
携帯型計測器
携帯型計測器
表面汚染測定器
表面汚染測定器

核種弁別とは

放射線計測において、物質の放射エネルギーの違いを見分けることを核種の弁別といいます。

核種弁別によって、単に放射線量のみを調べるだけにとどまらず、放射性物質の同定など、より深い原因究明や知見に繋がるデータの取得を実現します。

エネルギースペクトル

各核種の吸収ピーク

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